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転生を繰り返した私。今世も穏やかな人生を希望します。  作者: 吉井あん
第2章:アーティガル祭と薔薇の約束。
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29.一目惚れ。

 翌日、私は鏡を見て愕然としました。


 予想に反して大きなニキビができていたのです!

 しかも鼻の頭に。

 無理矢理参加の上に、同行者にまで不快な思いをさせられた舞踏会の報酬として、一番目立つ所に赤ニキビ。


 酷すぎです。

 ほんと最悪。


 何かのバチが当たったんでしょうか(バチが当たるような行いはしていません。というか、ネイサンさんの呪いかなんかですかね……)。


 なんて思って、すぐに否定しました。

 今の世の中に呪いなんて非科学的です。


 どんなにケアしても出来る時はできてしまうんです。ニキビなんて。

 苦々しく思いながら、朝食室へ下りると、満面の笑みのメアリーが待っていました。


 笑顔がいつも以上にキラキラしすぎているような気がします。

 いや、気のせいではありません。しています。

 ピンクの幸せオーラがダダ漏れです。



「おはよう。メ……メアリー、今日すごいね?」


「あぁダイナ! 待っていたのよ! 聞いて欲しいことがあるの!」とメアリーは私の腕を掴むと、有無を言わさずサンルームに連れ込みました。


 メアリーの様子から昨晩、私が帰った後に衝撃的な何かがあったに違いありません。



(これは……ネイサンさん、早速手を打ったのね)



 ネイサンさん、仕事が早すぎる。

 私が帰った後で、メアリーと距離詰めアンド求婚(プロポーズ)をキめるだなんて。私の態度に不穏な何かを感じたのでしょうか。

 だとしたらネイサンさんの嗅覚は並大抵ではありませんね。



「ネイサンさんと何かあったの?」



 と切り出してみました。


 きっとメアリーははっと顔を赤らめて『ネイサンさんにプロ……あれ?メアリーは真顔です。

 メアリーは訳が分からないと首を傾げ、



「ネイサンさんと何があるっていうの?」



 興味もない口調です。

 これってネイサンさん下手うちました?

 もう少し訊いてみることにします。



「私が帰った後、二人になったでしょう? メアリーはネイサンさんに気があったし、ネイサンさんも満更でもない感じだったから、きっと告白でもされたんじゃないかって……違うの?」


「違うわよ。変なこと言うのね、ダイナ」



 メアリーは私の手を取って、出窓に設られたソファに腰をかけました。



「ダイナの言う通り、昨日までの私はネイサンさんに惹かれていたわ。だってネイサンさんって、結婚するには十分な条件も揃ってるし、姿もいいわ。財産だって相続できるって決まってる。まさに理想的よね」



 結婚だけを考えれば、ネイサンさんは優良な物件と言っていいでしょう。

 海軍提督の長男で、男爵の爵位タイトルをもち、南部に広大な地領もある。準男爵家(準男爵は貴族ではありません)からしてみれば、家の格をあげてくれ、さらに財産も増やせる玉の輿。

 喉から手が出るほど欲しい婿です。



「でも」



 メアリーは背筋を伸ばすと、真面目くさった表情で私を見つめました。



「違うって思ったの。ネイサンさんじゃないって思っちゃったの」


 

 ネイサンさん撃沈じゃないですか。



「メアリー、舞踏会に行くまではネイサンさんしか見えていなかったじゃない?」

「うん、そうね。その時はネイサンさんが最高の人って思っていたから」

「ちょっと待って、メアリー」



 嫌な予感がします。

 何だか背筋がゾワっとします。ついでにニキビも疼きます!



「私ね、出会ってしまったの! 運命の人に!」



 ああああ。やっぱり!

 私のいないチャリティ舞踏会で、メアリーの心を一瞬にして奪ってしまう出会いがあったのです。


 惚れっぽいメアリー(だってネイサンさんがお祖父様のところに来たのも数日前です)からネイサンさんを一掃してしまうほどの魅力的な男性に出会った、と言うことでしょう。



「それで、その人、どんな人なの?」

「詳しくはわからないわ。見かけただけでね、話したりはしていないの。知人かな、お友達と連れ立って談笑していたのよ。ものすごくかっこよくて……」



 見かけただけ?

 それなのにメアリーは完全に一目惚れしたようです。


 あの混雑した会場でそんな相手に出会うだなんて、すごい確率です。

 国の主だった貴族や富豪が集められていた舞踏会でしたから、家柄は保証されています。問題は容姿と人柄……です。



「かっこいいのね。他は?」

「声は聞いたわ。少し低めで、でもとってもいい声だったの。それにものすごーーくイケメンだったわ」



 ものすごくイケメン。

 うんうん、それで詳しく?



「ラファイエットのジャケットとタイが素敵で。よく似合ってたわ。あとね、目元にね、黒子ほくろがあったの。涼やかな目尻と青い瞳と相まって、すごくセクシーだったわ」

「目元に黒子……?」



 涼やかな目尻と青い瞳。目元に黒子。

 目元に黒子?

 ……私の知っている人とよく似ているんですけど。



「ねぇ、メアリー。その人の名前ってわかる?」

「わかるわ。お友達が呼んでいるの訊いたの。姓はわからないけれど、オーウェンって言ってたわ」



 オーウェン。

 まさかの、オーウェン。

 嘘でしょう?

29話をおおくりします!


何となく書き始め、もう30話。

感無量です!


ブクマ評価ありがとうございます。

とても嬉しいです。


次回も読みに来てくださいね!

皆様に多謝を。

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