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転生を繰り返した私。今世も穏やかな人生を希望します。  作者: 吉井あん
第2章:アーティガル祭と薔薇の約束。
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21.どうしてここにいるのですか?(嬉しいけど!)

 二人に対してとても嫌な言い方でしたし、失礼な態度を取ったと反省します。でも後悔はしません。


 むしろ一人になって、俄然、やる気が戻ってきました。


 街歩きに慣れていないメアリーと一緒にいても、面白いことは何もなかったはずです。

 きっと疲れただの、あれが嫌、これが欲しいとワガママをいうに決まっています。

 してもらって当たり前な子ですからね。

 お金持ちの家の娘ってこんなものなのかもしれませんが。

 きっと私一人が疲れ果てる結果がみえています。


 メアリーは平民の子(富裕層ですけど)ですが、生まれより育ち……って言葉、わりと正しいのかもと思います。


 裕福な平民のメアリーは貴族令嬢のようですし、男爵家出身の私は平民と変わることがありません。

 私もお屋敷のサロンで刺繍をさして静かに過ごすよりも、街の中を歩き回る方が好きです。

 ほんの数年ですが、人って変わるものなのですね。




 さて。


 同行者もいなくなり身軽になったので、早速、今日の目的地である繊維市へ向かいました。


 この繊維市には『とんでもない掘り出し物』が混ぜられているので有名です。


 王侯貴族から依頼され特注で作ったけれど何らかの理由でキャンセルされたものや、ほんの少しの傷で納品できなくなったもの等が、数は少ないですが、超破格値で売り出されるのです。


 客引き用の目玉商品ですし、元々がお高いですから、お安くてもそれなりにします。もちろん私には手が届きません。

 でもそれ以外もお買い得品もたくさんあるので、私はそれ狙いです!


 食品以外はそれなりのお値段がするこの国で、お安く生地が買える繊維市は庶民の味方。

 ですから、アーティガル祭の間、西の広場はある意味、戦場です。

 町の奥さんと娘さんの熱い戦いの場なのです。


 辻馬車を乗り継ぎ、私が到着した時には、市には黒山の人だかりができていました。

 ちょっと出遅れてしまったようです。



(ほんとメアリーとネイサンさんのせいで!)



 あの人たちがいなかったら……。

 先手必勝をキメていたのに!


 いやいや。今は文句を言っている暇はありません。

 デイドレスの生地を確保するのが先です!


 私は白熱する奥さん方の間を分け入り、台に積まれた生地を漁ります。

 何としてでも買っておかないと、しばらくは服を新調することはできないのです(定価での購入は厳しい懐具合です)。


 もう必死。

 自分でも引くほど必死です。


 去年はオレンジ色のデイドレスでした。

 今年は違う色味にしたいところです。



(あ、ストロベリー色もいいし。ラベンダー色も落ち着いてていいかも)



 私が手当たり次第に反物に手を伸ばそうとした時、後ろから聞き覚えのある声がしました。



「ターコイズが似合うと思うよ?」



 え。まさかね?

 いや、まさかだ。



「オーウェン!」



 笑顔のオーウェンが鮮やかなターコイズ色の反物をもち、私と見比べます。



「やっぱりよく似合う。鮮やかな色だと、より可愛く見えるよ」


「え、そうかな……?」


「うーん。でも似合いすぎて、他の男にも魅力的に見えるのは嫌だな。困ったな」



 甘い。

 甘いけれど、え、待って。

 困ってるのは私なんですけど。


 照れることをさらりと人前で言っちゃうなんて。

 周りの奥さん方もざわついているじゃないですか!


 何なんですか、イケメンって。



「うん。ダイナが可愛くなる方がいい。ラベンダーもいいけど、やっぱりターコイズが一番だよ。これにしたら?」


「……オーウェンが言うなら、決めようかな」



 山盛りの砂糖のような言葉を平気で紡いじゃうオーウェンですけど、嘘は言わないはずです。

 自分がどう見えるかなんて、分からないものです。すごく私情が入りまくってますけど、客観的に見てもらえるのは嬉しいじゃないですか。



「ありがとう。オーウェン。助かっ……」



 私はふと言葉を止めました。


 ん??

 カイル殿下の侍従であるオーウェンが、どうしてここにいるのでしょう??

読んでいただきありがとうございます!!


ここまできてですが、オーウェンの容姿のことを詳しく表記していません。

イケメンとしか笑

読んでいる方の想像にお任せしようっと意図してやっています。

皆さんはどんなオーウェンを想像してくださってるでしょうか。


ブックマーク評価ありがとうございます!

とても嬉しいです。


次回もぜひ!!!

読みにきてくださいね。

皆様に多謝を。

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