騎士科編:学院2年生夏①私の大好きな女子は美しい
カラン、カラーン
「またきてね〜。」
ケーキ屋のジェシカさんに、笑顔で見送られて店を出た。
店員さん達、今日も素敵な足だった!
はぁ、可愛い子の脚って最高!!
学院の制服もミニスカートになればいいのに。
はぁ、癒される.....。
学院の奴らは筋骨隆々の雄々しい男子ばっかりで、暑苦しい。
なんていうか、私の琴線に触れる対象って、イケメンじゃなくて美女子なんだよね。
いわゆるイケメンは、『整ってるなぁ。モテそうだなぁ。』って感じで一歩引いてしまう。
それに対して、可愛いや魅惑的な女性を見るとテンションが上がる!ひゃっほーい!!
これは、男だった記憶からなのか?
そういうわけで、私の周りの女性はみんな美しい人ばかりになるのだ。
ちょうど今声をかけられてる姐さんも、美魔女だ。
「あら。アリスンじゃない。
今日は、ちゃんと貴族な格好ね。
ふふ、可愛いお友達を連れてるのね?こんにちは。」
「胡蝶姐さん!」
胡蝶姐さんは、海を挟んだ東大陸の河羅の人だ。
東大陸から来た人たちが暮らしている唐区を締めている女傑である。
高利貸しから商店の経営、娼館経営など多岐にわたって纏めている。
年齢は確か30代前半で、宵闇に光る待宵草のように、一晩のうちにさまざまな色を見せて枯れる儚さを醸し出していて思わず手を差し伸べたくなる妖艶な美女だ。
かくいう私も、姐さんにフラフラと引き寄せられ捕まった。
中華料理が食べたくて、たまたま行った店に姐さんがいてポーっと見惚れていたら、手招きされて『貴族でしょう?』と囁かれた。
もう、腰が砕けたねっ!
おもわずお忍びだったけど、うんうん頷いてしまった。
姐さんの香りには、自白剤が入ってるんじゃないかと疑うレベルだ。
「姐さん、この二人は学院の友達。
エリザとキャスだよ。
キャスは、リンデンバルクの王女なんだ。
最近、姐さんの店に行けてないのは、キャスの護衛をしてるからなんだよ。
流石に妖しい店が多い姐さんの店にはキャスを連れて行けないからね。」
「エリザ・トールテンです。はじめまして。エリザと呼んでくださいませ。」「キャスリーン・リンデンバルクですわ。キャスと呼んでくれますか?私もアリスンのように胡蝶姐さまと呼んでもいいかしら?」
「はは、好きに呼んでよ。
私は、貴族にも王族にもかしずかないし、年功序列も気にしない変わり者だ。君たちのことも呼び捨てにしてもらう。
私にはわたしという信条があるから、喋り方を丁寧に変えることはない。
それが気になって生意気だと思う奴は、そばに寄ってこないんだがねぇ。
それでいいと思ってるんだ。
私の手足はそんなに長くないからさ、守れる者しかそばに来なくていい。誰しも限界があるからね。
敬語を喋らない私のことを君たちは不敬だと思うかな?」
キャスもエリザも「いいえ。」と答えた。
「助かるよ。さて、アリスン?
ちょっと小耳に挟んでおいて欲しい情報があるんだ。今時間は大丈夫かい?」
「何、姐さん?きな臭い話?」
私は、声を潜めて聞き返した。
「うーん、ここじゃ話せない内容なんだ。
私の屋敷にきてくれないかい?
ああ、いかがわしい場所じゃないから安心しておくれ。身の安全は保証するよ。」
ということで、3人で姐さんの屋敷に行くことにした。