第2話 早速の難関!?
朝起きて、時計を確認。枕元にある時計が5時を指していることを確認しつつ、私はベッドから降りました。
今日もいつも通りの朝、いつも通りの毎日です。強いて言うなら、入学式というイベントがあるってことくらいかな?
今日、私と幸は、早蕨農業高校に入学します。そして……アイドルを、するのかな?
幸があの時の約束を覚えているかは分からないけれど、私はずっと覚えていました。忘れられなかった、って言った方が正しいのかな?
だって、あんなにもドキドキしたの、本当に久しぶりなんですから。
小学生の時からずっと、聞き分けの良い大人しい子で通ってきた私。その事に今更不満はないけれど、幸のように、自分のやりたいことを素直にやりたい!とは言えなくなって。大人の顔色をうかがって、諦めてばかりの子どもになっていました。
だから、幸が私を誘ってくれた時、本当に嬉しかったんです。幸はいつも、こんな私を引っぱって楽しい世界を見せてくれるから。
幸は他にも人を誘っているのかな?二人でやりたいな、なんて我儘を言ったら困らせちゃうかな?
なんて、そんなことを考えていたら時間がなくなっちゃう。とりあえず畑の様子を見に行かないと。
私は上着をはおり、畑の様子を見るために部屋を出ました。
家の外に出ると、冷たい空気が私の体を包みます。四月とはいえ、ここは北海道。まだまだ寒いんです。幸とは違って、私はいつまでも寒さに慣れないんだよなぁ……
そして、畑の様子を見ます。……うん、特に変わったことは無いから大丈夫。
私の朝の仕事は畑の様子を見ることだけなので、あとは朝ごはんと準備をすれば完了。
部屋まで戻る時にすれ違ったお父さんに
「おはよう、お父さん。今日も大丈夫そうだったよ」
と告げると、部屋で手早く着替えます。
新しい制服に少しだけ胸をときめかせながら。
髪も結び、身支度は完了。あとは、お母さんが作ってくれたご飯を食べて、家を出る時間まで本でも読みましょうか。
リビングへ行くと、お母さんが朝ごはんを準備してくれていました。
「お母さん、おはよう。ご飯ありがとう」
と言いながら、配膳をします。今日のご飯もとっても美味しそう。
「いただきます!」
箸を手に取り、食べ始めます。ご飯もお汁もおかずも美味しい。料理上手なお母さんで良かったなぁ。
なんて考えていると、私のお皿はいつの間にか空っぽ。美味しいから手が止まらなかったのかな?
「お母さんありがとう、美味しかったよ。ご馳走様でした」
手を合わせ、食器を手早く洗います。自分のお皿を洗い終わったあとは、歯磨きをして顔を洗って、部屋で少しだけゆっくり。
中学の時から変わらない、私の朝。ハイドラに出ることになったら、朝練とかするのかな。
そうこうしているうちに、いつの間にかいい時間になっていました。そろそろお家をでなきゃ。
「お母さん、そろそろ行こう」
「そうね、行きましょう」
私はお母さんと一緒にお家を出ました。
学校までの道中、私はお母さんとお話しながら歩いていました。すると、後ろから足音がします。
「笑夏、おはよー!おばさんも、おはようございます!」
幸でした。私と幸は家も近いので、小学校の時から一緒に通っていたものです。
「あら、幸ちゃん、おはよう」
「幸、おはよう。お母さんは?」
と私が聞くと、
「後でくるよ!」
と元気な声で返されました。
「それより、笑夏、今日からあたしたち高校生だよ!一緒にハイドラに出ようね!」
と満面の笑みで言ってくる幸。そうだね、と私が返そうとすると。
私が返すより先に、お母さんが口を開きました。
「ハイドラに出る、ですって……?笑夏と一緒に……?」
あれれ、なんか……やばそうです……!?