第1話 ゆめの始まり
初めまして、美翔桜湖です。
ついに始まりました、現役女子高生のみによる高校生アイドルプロジェクト、「HIghschoolDreamLive!」
拙いところも多々あるけれど、現役女子高生にしか作れない作品になったと思います。
はぴねすまいる、RAINBOWS、BRILLANTIST、World Word Wonders、LovIng sIster。5つのユニットが織り成す青春ストーリーを、どうぞお楽しみください!
白い雪が降り積もり、突き刺すような寒さがあたしと、あたしの幼なじみである笑夏を包み込んだあの日。
もうじき中学生になろうかというあたしたちは、ある約束をした。
「笑夏、あたし、笑夏と一緒にアイドルやりたい!」
あたしの突然の発言に驚きながら、笑夏は言った。
「え、ええ!?い、いいけど………アイドルって、そんなに簡単になれるものなの?」
なんだ、そんなことか。大丈夫だよ、笑夏。だって、
「なれるよ、高校生になったら。だって、高校生になったら、高校生アイドルの大会が…ハイドラがあるんだもん!」
雪山の上で仁王立ちし、目をきらきらさせて言うあたしを、笑夏は目をぱちぱちさせながら見ていた。
ハイドラ。正式な名前をHIghschoolDreamLive
(ハイスクールドリームライブ)というその大会は、高校生のためにある大会だ。
男子部門・女子部門・性別不問(混合ユニット)部門の三つがあり、参加者、もとい参加校は年々増えている。どの部門も、学校ごとに二人以上十人未満のユニットでの応募で、オリジナル曲・オリジナルダンス・オリジナル衣装で歌って踊る動画をインターネット上にアップして活動するのだ。三部門全て、途中にある予選を勝ち抜いた五校だけが決勝に進むことが出来る。
「そ、そうなの、そんなのがあるのね…幸はそれに出たいのね?」
笑夏の問いにあたしは大きく頷き、
「もちろん!あたしね、笑夏と一緒に出たいの!ねぇ、笑夏、高校生になったら、一緒にハイドラに出ようよ!」
と叫んだ。
すると、笑夏の驚いた顔がだんだん笑顔になり…
「いいわね、楽しそう!私も一緒に出たい!」
満面の笑みで、笑夏は言ってくれた。
「ありがとう、笑夏!そう言ってくれて嬉しいよ!ねぇ、笑夏、絶対に優勝しようね!約束だよ!」
「うん!頑張ろうね!」
真っ白な世界の中、あたしたちは、熱く指切りをして、約束したのだ………
ジリリリリリリリリリリ!!
「おっふぉー!!!!」
毎朝四時半に設定している携帯のアラームが鳴り響き、あたしは飛び起きた。奇声をあげて飛び起きるという、今日から花の女子高生になるにはあんまりのスタートに、少しだけ頬を膨らませながら。
「それにしても……懐かしい夢だったなぁ」
確かあの後、あたしはお母さんとお父さんに呼ばれて、牛舎の掃除をしたんだっけ。暇なら手伝いなさいよー!って言われて。
まったく、酪農家の娘ってのも楽じゃないね!うちの牛たちはみんな可愛いけど、早起きとか掃除とか餌やりとかはなかなか大変だし。
というか、農業高校でアイドルなんてできるのかな?
今日は入学式。あたしと笑夏は、あたしたち二人の故郷である、北海道の私立早蕨農業高校に入学する。あたしは畜産科、笑夏は農業科。それぞれ実家の仕事を継ぐため、早蕨農業高校を選んだのだ。
農業高校生のアイドルなんて、今までいたのかな。多分居ないだろうな。ここ数年のハイドラは全部門ずっと追っているけれど、聞いたことないもん。
だったら、あたしたちが上手くやれば、増えるかもしれない。なにより、珍しさから注目してもらえるかもしれないからね!気弱になんてなっちゃダメ。幸は元気いっぱいがウリの女の子なんだから。
まずは、笑夏と一緒に部活を作らなきゃ。顧問はどうしよう、まずメンバーは二人だけになるのかな、ユニット名はどうしよう、曲なんて作れるかな、衣装作りとか大変そう……なんて、これからの学校生活…高校生アイドル生活に思いを馳せながらあたしは、牛舎の清掃のため、ツナギに着替え始めたのでした。