顔合わせと報告 3
「実はここまで軍を増やしたのは見つけた原生人類は4つの大きな勢力に分かれて我々がこの惑星に到達する前からずっと戦争をしているのが判明したからなのです。そのうちの1つは人類種とは異なる種族群の勢力でありこれが原因で稀に共闘することもあるようです。」
その後説明されたアリスの報告では地球人類(ヒトでよくね?)に似たエデン人(自称)率いる大エデン連邦、そして聖エデン法国。その他には耳の長い人類種と背の低い樽の様な見た目の種族(それってエルフとドワーフじゃん!!)が率いる連合王国。それと角の生えた魔法を使う魔族が率いるソロモン帝国が争っている様で、それらの国々は科学と魔法(魔法?ファンタジーな世界なの?)をそれぞれ使って戦争をしているということだった。ただ形態が違いすぎて技術レベルを正確に見抜くことはできないみたい。
なんかすごく心が躍るけどずっと戦争してるっていうのがいただけない。連邦と連合王国にはヒトとエルフとかドワーフが一緒に暮らしてるみたいだけど様子が全く違って連合王国が共存してるのに対して連邦ではエルフとかドワーフが奴隷みたいに扱われてるらしい。法国にいたってはヒト以外は滅ぼさないと気が済まないようで見つけ次第殺して回ってるということだった。帝国は人類種全部を敵視してるみたいで定期的に全部の国に侵攻してるらしいけど今のところは人種は善戦してるらしかった。そりゃ戦争なくならないわ、なんでこんなことになってるの…?
「なるほど、だからあんなに軍隊が必要だったわけね。」
「ちなみにこの星の大きさは地球の5倍程あり、それぞれが大陸を支配しており連邦が現在最大の領土を獲得しております。」
「せっかく人類種が居るんだから接触してみたかったけどこの状況じゃ難しそうだね。」
「はい、なのでこの星系に到達してからの10年間はARK-IIの光学迷彩を利用して隠れていました。ですがここ数年の彼らの技術の進歩が凄まじく、このままでは人類種が戦争で滅びかねないので指示を頂きたく瑛士さんを起こさせていただきました。」
そういえばいつ起こして欲しいとか言ってなかったから僕の指示が欲しくて起こしたわけか。
え、それ問題がなかったら僕無限に寝てたってこと?それはまずいだろう、次から指示はちゃんとしよう。
「とりあえず今までのところは分かった。指示については全部の報告を聞いてから出したいんだけど他に何か報告はある?」
「かしこまりました。まずアンドロイドは私たち3人が統括することになっていますが、基本性能は以前と変わらず個体ごとに自意識があります。次にエデンの衛星のエデンから見えない場所にARK-IIとの中継拠点となるNOAH-IIを建造しました。規模としてはNOAHと同程度のものでそれに軍施設を足したものになります。この星系についてですが8つの惑星があり、それぞれの惑星の特徴、並びは偶然かこれが生命が発生する条件かはわかりませんが太陽系と同じです。現在位置は太陽系でいう木星のある第5惑星の近傍です。」
「そうか、ありがとう。それじゃあまずはいくつかの無人機を地表に降下させて引き続き観察してほしい。それと僕にはみんなを率いるための知識がなさすぎるから色んなことを教えてほしい。あと不老不死とは言わないけど不老になったり出来るならしてほしい。」
僕はほんとに何したらどうなるのかとか何にも知らないから教えてもらいたい。それには時間が掛かりそうだけどなるべく年は取りたくないというか死にたくないから早めに不老ぐらいにはなりたい。僕の好きなSFにはそういうのもあったし出来るんじゃないかな?出来るといいな!
それに…アンドロイドと言っても僕にとっては同胞、同じ人類としてしか彼女達を見れないから行動には責任を持ちたい。
「了解致しました。それではナノマシンを投与し身体能力及び脳機能の拡張すると言うのはいかがでしょうか、そうすれば必要な知識がインストールできるのに加え、膂力や機敏さ動きの正確さが向上します。これで病気で死亡する確率はなくなり、ナノマシンでテロメアを制御することで老化することもなくなります。それに離れた場所でも私達に連絡を取ることができる様になります。いわゆるテレパシーの様なものと思ってください。」
すごいじゃんそれ、攻◯機動隊みたいでかっこいい!いや、機械化するわけじゃないから少し違うか。
「その方向で頼むよ!」
「かしこまりました。それでは早速ナノマシンを投与しますのでついてきてください。」
いつの間にかアダムもイヴも居なくなってた。
全然気づかなかったんだけど…
ーーー
「これで投与は完了です。まずはナノマシンに慣れる必要があるのでその訓練から始めましょう。」
「わかった。よろしく頼むよ。」
びっくりするぐらいあっさり終わったな、少しドキドキだったけどよかった。
ーーーーー7年後ーーーーー
「僕はこれからエデンに降りようと思う。やっぱりこの目で見ないとわからないことが多そうだからな。」
この7年でいろんなことができる様になったし、成長したと思う。何より今エデンでは珍しく戦争が無いそうだからこの気を逃す手はない。
「おいおい、もう俺との訓練はいいのか瑛士?」
「もう十分死なないように強くはなったと思うしタイミングもいいしな、それに前から考えてたんだ。だから行くよ。」
「そうか、行くなって言っても行くだろうからそれは仕方ないが死ぬなよ、俺たちにはお前しか居ないんだ。護衛もしっかりつけるからな。」
「わかったよアダム、本当に今までありがとう。」
実際彼のおかげで大体の状況では死ななくなったんじゃ無いかな。本当に彼には感謝しかない。
「当然のことをしただけさ、照れるからそう言うのやめろよな。」
そう言ってアダムが小突いてきたので僕も小突き返す。本当の友達みたいになれた気がして嬉しかった。
「そんじゃイヴとアリスにも伝えてこいよ。」
「分かった、また後でな。」
「おう!」
それじゃ伝えに行くか、イヴは大丈夫そうだけどアリスにダメって言われそうだなあ。なんて言おう。素直にお願いするしかないか…。