プロローグ たった1人の生存者
初めまして、落合秀樹です。
私が読みたい話を書いています!
もしご興味がありましたらぜひ読んでみてください!
「聞こえますか!?意識はありますか!?」
けたたましいサイレンの音と誰かが叫んでいるのが聞こえる。遠くから爆発みたいな音もする。
返事をしようとするが声が出ない、全身も焼けたように痛いし頭もすごくドクドクする。
「よかった…意識を確認、これより集中治療室へ運びます。」
声からするとA.L.I.C.Eのうちの一体みたいだ。
「これから麻酔を投与します。」
目を開けていられなくなり僕の意識は闇の中へ。
―――――
「本当に良かった、この人だけでも生き残ってくれて…」
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よく眠っていた気がする。
「目が覚めましたね。」
目を覚ますと真っ白な部屋に僕とベッドの隣の椅子に姿勢良く腰掛け、金髪に青い目をしたナースタイプのA.L.I.C.Eがいた。
「頭を強く打っていたようなので、一応記憶に問題がないかいくつか質問をさせていただいてもよろしいですか?」
「はい、大丈夫です。」
「それではお名前、生年月日を教えてください。」
「名前は天野瑛士、2065年10月10日です。」
「はい、記録とも一致します。今のこの状況になる前で何か覚えていることはありますか?」
そう言われて中継で見ていた隕石の迎撃の失敗と地球の崩壊、乗っていたARKに迫る別のスクリーンから見える隕石の破片、そして地球に残してきた父さんと母さんの顔と別れ際の悲しそうな、安心したような顔が浮かんできて自然と涙が溢れる。
人はほんとに悲しい時声すら出なくなるようだった。
「辛ければ一度確認をやめていただいても大丈夫ですよ。」
僕が頷くとA.L.I.C.Eは部屋を静かに出ていった。
―――
どれぐらい泣いていただろう、もう涙も出ない。
ひとまずは落ち着いたから確認の続きをしよう。
そう思いベッドの横にある呼び出し用のボタンを押す。
「落ち着かれましたか?」
「ええ、もう大丈夫です。」
「それでは続きを始めましょう。こうなる前のことは覚えているということでよろしいですか?」
「はい…」
「とりあえずのところ記憶は問題なさそうですね、体もこちらで治療した後に調べた限りでは問題ないはずですが、どちらも何か不調があればすぐに仰ってください。」
「わかりました…それと、ありがとうございます。A.L.I.C.Eさん。」
「そう言っていただけると嬉しいです。それが存在目的ですから。それと今後はアリスとお呼びください。敬語も不要ですよ。」
自然と笑みがこぼれる。
結構有無を言わさぬ感じで言ってくるんだな。
「わかったよアリス。それじゃあ僕のことも瑛士って呼んでくれ。」
「わかりました。瑛士様。」
そういうとアリスは微笑むのをやめ真剣な表情になる。
ほんとにアリスは人間みたいに表情も声音も変えれて本当の人間みたいだ。
「確認は終わりましたが、瑛士様に伝えなくてはならない事があります。」
「ん、どうした改まって?」
一応僕も真面目な表情にしておく。
「瑛士様が乗っていたARKですが、瑛士様以外、生存者がいません。」
「なっ…そんな事あるのか?!あれには1万人も乗ってたんだぞ!」
「悲しい事ですが、事実です。瑛士様も船室にいなければ生き残ってはいなかったでしょう。ARKの船室は救命ポッドとしても使えるように頑丈に作ってあったので。」
確かに、僕は1人がよかったが、みんな地球最後の瞬間は誰かと一緒にいたいと倉庫区画の広いスペースに集まっていたから船室にいたのは僕ぐらいだろうが…それだとしても…
「本当に…誰も残ってないのか…?」
「…はい、残念ながら。」
「そうか…」
「はい、ですので我々の今後の方針を瑛士様に決めていただきたいのです。私達アリスには自立行動が認めららていますが、この状況では流石に人類としての方針を決めることになってしまいますので人類である瑛士様に今後の方針を聞かなければいけません。瑛士様は最後の人類ですので便宜上、最高権限保有者となります。これは地球統一政府大統領に相当する権限を持つ方になったということです。」
「仕方なさそうだし、断れもしなさそうだから了解するけど、そう言われても僕は政治家じゃないから何もわからないんだけど…具体的に方針と言っても、まずどんなことを決めればいいんだ?」
「ありがとうございます。そうですね、アリスとして推奨する方針、もとい計画案がございますので、そちらを説明させていただきたいと思います。」
ここまでお付き合い頂きありがとうございます!
次もなるべく早く投稿しようと思っております!