スキル発動
やっぱり魔物がいるところといえば街の外だろと思い、外に出てきた。
「んー…遠くにいるのかなぁ」
この街に来る時に通った、道じゃない方に少し移動しつつ、遠くを観察していると、なにやら遠くで動いている生物らしきものを捉えた。
「おっ、魔物かな?」
ここからでは分からないのでとりあえず近くまで行ってみることにした。
リボルバーを片手に魔物らしき物体のところまで歩いていくと、これは予感的中……かな?
そこに居たのはネコにしては大きく、恐ろしい相貌で、ライオンにしては小さな四足歩行型の魔物であった。
僕が近くまで歩いていくと、こちらに気がついたのか、牙を剥き出しにし今にも襲いかかって来そうな雰囲気だ。
おーこわい。
僕は先手必勝とばかりリボルバーを構え、発砲しようとした瞬間、その魔物は素早く地を蹴り、僕の方へ突進してきた。
「うおっ!」
牙あるんだったら噛み付くなりなんなりしろよ!突進って…!
なんとか体をひねり、大きな傷を負うことを避けようとしたのだがその心配はなかった。
「あれ?痛く……ない?」
体をひねり、回避したとはいえ多少は当たったはずだ。それなのに全く痛くない。
表現するならば、幼稚園児に悪ふざけで叩かれた程度。いや叩かれたことないけどね。
「まぁ、あとでゆっくり考えるとしようかな」
仕留め損なうどころか、怪我さえしていない僕に驚き、動きが止まっていたその魔物目掛けて僕は、トリガーに指をかけた。
その魔物の眉間を弾丸が貫通し、倒れたかと思うと、その魔物の死体は黒い煙となって消えた。
どういうこっちゃ。
と、その煙の中からいくつかの光の粒が出てきて僕の体の中に消えるように入っていった。
つまり今のが経験値なのかな?
僕はステータスプレートを取り出し、確認すると案の定経験値が入っており、スキルを獲得できそうだった。
ん?今チラッと見えたのは……。
あ、そういえばエンチャントしてもらったんだっけ。
すっかり忘れてたよ。
この服に付いたエンチャントを確認してみると、良いのか悪いのかよく分からない効能だった。
えーと?
衝撃吸収、防御上昇、全属性耐性、確率系スキルの確率絶大上昇、装備自動修繕、自動回復(小)
装備自動修繕ってのはこのスーツのことだよね、いいねぇ。傷まないって分かるのはかなり安心できるし。
あとはー、多分だけど自動回復っての?それは中々いい効能なんだろうなぁ。でも小ってことは、かすり傷とかくらいしか回復しないのかね。
まぁそれでも助かるっちゃ助かるけどね。
獲得できそうなスキルを見てみるとあんまり僕の性格を反映してなさそうなスキルがあった。
ここから察するに、性格を反映するスキルとしないスキルに別れるようだな。
全く、ちゃんと説明して欲しいもんだよね。あの職員。
とりあえず僕は、取れそうなスキルだけ取り、他の魔物を探すことにした。
次に新しく見つけた魔物は、かなり大きく、それ故に鈍い魔物だった。
岩のような肌をし、真ん中に小さい球体が埋まっている。
というか、岩のような肌じゃなくて、こりゃ岩だね、うん。
ためしに、上の方を狙って発砲してみるが金属音が鳴り響くだけだった。
「やっぱ、あの丸いの狙えってことかな。さっき見つけたオッサンもここ狙ってたし…」
埋まっている球体を狙い、発砲しようとした時に、ふとスキルを使ってみようと思い立った。
この魔物を見つける前に、一番最初に倒した魔物と同じ種類の魔物と、もう二回遭遇したのだが、どちらもスキルを使わずに倒したのでちょっと使ってみたかったのだ。
幸い、取ったスキルは攻撃系だ。
でも、どうやって使えばいいのかな、これ。
そう思っていると、なんとなく感覚で行けそうな気がしてきた。
僕はリボルバーを構え直し、スキルを発動させた。
「『ダイレクトショット』」
するとリボルバーの先端から、白く輝くビームのようなものが発射された。
スキルを発動させた際、少しばかり手元が狂って狙った所とは別の場所に発射され、ミスったかと思ったのだが、そのビームはぐにゃりと方向を変え、狙い違わずあの小さな球体に突き刺さり、貫通した。
急所であろう球体を破壊されたその魔物は、そのまま黒煙とかし、消えていった。
「よし、経験値も入ったね…と。それにしても、見た目はかなりしょぼいかもしれないけど、中々使えそうだねぇ……このスキル」
これで倒すのも楽になりそうだ。
ステータスプレートを確認してみると、なんと次はレベルが上がり、いくつかステータスが伸びたようだ。
いいねぇ、異世界って感じしてきたよぉ?
スキルの欄を見てみると、獲得出来るスキルが新しく増えていたので、それを獲得し今日は戻ることにした。
もう夕方だしね。
そこでチラッとさっきまで魔物が立っていた場所を見やると。そこには赤い球体が落ちていた。
「おー、これはいわゆるドロップアイテムってやつ?」
こうゆうのってギルドとかで換金できたりするんだっけ?
持ってるのは日本の通貨だけで、実質一文無しだったから少し助かったかな。
問題は……
「これがいくらになるのか…だよねぇ」
ドロップアイテムを拾い、僕は街に戻った。
ギルドに入ると、昼間に来た時よりも人が多くなっているような気がした。
やっぱ夜は人増えるよなぁ。
椅子に座って酒を飲んでいる人達を横目に僕は、ため息を吐きながら受付へと向かった。
はぁ…体がアルコールを欲している…
「こんばんは、どのようなご要件で?」
昼間一度ここに来たとき、この服装を見たのかあまり驚いてはいないようだった。
つまらないなぁ。
「あの、こういうモノの換金とかってできます?」
そう言い、職員にあの赤い球体を手渡す。
「あぁ、ロックゴーレムのドロップアイテムですね!これは中々落ちなくてかなり希少ですので、高額で取引させてもらいますね」
職員はそばにあった、コインらしきものが入った袋を持ち上げ、机にドサッと置いた。
こ、これは本当にかなり高額なんじゃ……
「こちら、ちょうど10万ゴールドになります」
す、すごいな…。
あんな小さな玉一つで10万って、僕もしかして結構運いいんじゃない?
「どうもー」
袋ごと受け取り、近くにあった椅子に座る。
どうせなら、日本でも使ってた財布を使いたいじゃない?
あれから何十分か経ち、ようやく全ての通貨を自前の財布にしまった頃、その自前の財布はもうパンパンだった。
なにせ札を入れるところにも入れたからね、コレ。
次に通貨もらう時は口座か何か作ってもらえないか聞いてみよう……。
そう決意した僕は、宿を取るためギルドを出た。
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