異世界転移
目が覚めると、そこは知らない場所だった。
「うわー、一瞬だったなぁー」
言うなればここは大草原、とでも言うべき場所だ。僕は木の下で横になっていた。
起き上がってとりあえず所持品チェックと……
「あ、財布入れっぱだったっけ……」
右ポケットから取り出したのは使い慣れたツルツルとした感触の財布だ。
使い慣れていただけあって、これがあると分かったら少し安心した。
上に羽織っているジャケットのポケットには、雨が降ってきたとき用に備えて黄色のレインコートが入っている。
携帯は家に置いてきたようだ。だけど電波がないんじゃ使い道もないだろとあんまり気にしないことにする。
「あれ?おかしいな…」
どこを探してもマンションの鍵だけが見つからなかった。
しまったな…これじゃ管理人に怒られちゃうよ……
いや、待てよもう日本には戻らないし僕が知ったこっちゃない。困るのはあっち側の人間だけだ。
「はは、ざまぁみろ…」
誰にも聞こえない程度の声でそう呟き歩きだそうとした時。
「んん?」
尻ポケットに違和感を感じた。
あれ?ここはいつも何かを入れることはないんだけど……
手を伸ばし、それを手にしてみると。
「あー、そういえばこんなの貰ったっけ……」
確かこれがないと魔法が使えないとかなんとか。
「それにしても…リボルバーねぇ…なんでこんなしょっぼい銃なのかねー」
どうせならライフルとかかっちょいいのがよかったなぁ。
「果たしてこれは実物なのか、と」
試しに近くにあった木目掛けて撃ってみるか。
片手で拳銃を構え、リボルバーのハンマーを、ゆっくりと起こしトリガーに指をかける。
すると、発砲した際に生じるあの音、そしてリボルバーを持っていた方の手に衝撃がきた。
「のわっ!」
まさか本物だとは思っていなくてちょっとよろめいた。
威力も申し分なし。うん、やっぱり実物だね。
これは、中々に……
「…ははは、こりゃ面白い!」
拳銃って撃ってみるとこんな感じなんだな。
ん?待てよ?でもこれって弾数に限りがあるんじゃ?
残弾数を確認してみようと弾倉を確認してみる。どれどれ……
「あれっ?どうゆう事だ?」
リボルバーは普通、8発ずつでしか発砲は出来ないはずだ。今1発撃ったのだから残りは7発のはずなのだが。
「弾が減ってない…」
どういうことだ?つまりこれは発砲しても中にある弾丸は無くならないっていうこと?それとも、撃って弾が出たら自動的に再装填されるってこと?
「もう一度試してみるか…」
僕はもう一度撃つために構え、トリガーに指をかけた。
瞬間。衝撃が、2発目ともなると正直もう慣れるよな。
僕は急いで残弾数を確認、すると。
「減ってない…」
やっぱりそういうことか…!
あの自称神が作ったって言ってたよな。
あの自称神、実は本当に神だったりして…
「まぁ、どうでもいいかな」
とりあえず、すぐに取り出せるよう右ポケットに入れようとする。
あ、財布入れてたんだった。
財布を左にあるポケットへ移し、拳銃を右ポケットにしまった。
「それにしても、どっちに歩けばいいのやら…」
目の前には林が広がっていて正直よく分からないし、どうしたものかと思いつつ周りを見渡すと。
「お、なんだぁ。街あるじゃん」
異世界ものによく出てくる。ファンタジーな雰囲気な街だ。
遠目から見てこの大きさってことはそれなりには大きい街ってことだろう。
ちょうど人や馬車なんかが通って出来たであろう道が近くにあったのでそれに沿って歩いていくことにした。
どれくらい経ったのだろう。
あれからかなり歩いてようやく中間といったところだ。
全く、めんどうくさいところに降ろしてくれちゃって。
体力的には特に問題はないが暇だ。すごく。
さっきは、あのリボルバーをいじくり回して時間を潰していたがすぐに飽きた。
ここって異世界なんでしょ?ステータス画面とかないわけ?
ゲームでよくあるスキルとかはどうするのさ?
大きめなため息を吐き、どうしたものかともう一度考える。
あ、そういえば、魔法は使えるのだろうか?
たしかこの拳銃を通して魔法を使うとか。
試しに何もない方向を向き、拳銃を構える。
さて、どうやって発動させるんだ?
あの神、肝心なところ抜けてるな…
仕方なしにとりあえずそれっぽい名前を叫んでみる。
「ふぁいやー!」
何も起きず。
いい歳をして何をしているんだ。ダッサイなぁ僕。
恥ずかしくなり周りを見渡してみる。
誰もいないようで安堵の息を吐いた。
仕方ない、黙って歩くか。
あれから歩き続け、やっと街の前まで来た。
街の周りは大きな壁で覆われており、入口だけが見えている状態だった。少し離れた所では城のような大きな建物などがいくつか見えたが。
「はぁー…疲れたぁ。ダルいなぁ」
長いこと歩いていたせいか、かなり疲れている。体力には問題は無いが。
入口を通る時、監視にすごい目を向けられたがめんどうくさいので無視だ。
街はなかなか栄えていた。
「うわぁ。人多っ」
日本では東京に住んでいたのであの場所よりかは少ないが、先程の道のりからは考えられない量だった。
仕方がない、とりあえず街を見て回るかぁ。
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