神を自称する者
気がつくと、僕は見知らぬ白い空間に立っていた。
目の前には、前に暇で読んでた異世界転生ものの小説に出てきたような、分からない人目線で言うと教会のシスターのような格好をし、顔立ちが中々に整っている女性がいた。
「あなたの願い、叶えてあげましょう。」
唐突に告げられた言葉にへ?とマヌケな声を出してしまう僕。とりあえず最初に浮かんだ疑問をぶつけてみようかな。
「えっとー…キミだれ?」
「私は神です」
うわー痛いなー。こんな自分のこと神だとか言う痛い人に見惚れてた自分が憎いなー。
「はぁ……まぁその…僕の願い?叶えてあげるったって特にないんだけど」
「願ったではありませんか、連れ出して欲しいと」
あー、そんなこと考えてた気がするなぁ。んでもって、何これ?夢?それにしてはちょっとリアル過ぎない?
「突然の事で驚いているとは思いますが、あまり時間がありません。こう見えて私は忙しいのです」
まぁこれが本当ならあのクソみたいな現実から抜け出せるわけだし。ここは乗っておこうかな。
「そう、じゃあさ、早いところどこかにやっちゃってよ」
そう急かすように言ってみると。
「分かりました。ですが今からあなたを転移させる世界はかなり危険な世界となります。ですがご安心を、その世界でも生き抜くために必要最低限の力をあなたに授けます。」
危険な世界?なんだか嫌な予感がするんだけど……
「ちょっとちょっと、危険な世界ってどうゆうこと?聞き捨てならないんだけど」
「大丈夫ですよ。力を授けますので、それにあなたが住んでいた世界よりも危険な分かなり自由な世界ですよ?日本ほど労働に自由を奪われたりすることはありませんし」
なるほど。確かに自由ってのはいい事だよね。
というか、今思ったんだけど、このシチュエーションは異世界転移ってやつじゃない?
「ねぇ、力を授けるとか言ってるけど僕そういう風に誰かから貰った力に頼って生き抜くとか嫌なタチなんだけど…」
「あぁ、では少し修正させていただきますね。力を授けると言っても本当に授けるわけではなくてですね。こう、分かりやすく言うならばあなたの潜在能力を引き出す……と言ったところでしょうか?」
異世界転移ものと言えば、やっぱり魔法でしょ?でもこうゆうのって普通使えないし、魔力とかも潜在能力になるんだろうか?
「魔力とかももしかして潜在能力として僕の中に眠ってたりするの?」
「はい、基本的にどんな人間も持っているものですので」
「ふーん…そりゃすごい」
どんな人間も持っているという言葉を聞き、内心驚いて止まない状態だが悟られたくないので平然を装う。
「それでは……」
すると自称神は僕の頭上目掛けて手を伸ばす。そこには神々しい雰囲気をまとった。輪のようなものが出現し、回り出した。
しばらくするとそれは音もなく消えていった。
「はい、終わりましたよ」
「あれ?これで終わりなの?」
もっと力が湧き上がって来るような感覚だと思っていたから少し拍子抜けだ。
「いざ戦ったりする時、実力が実感出来るはずですよ」
「そっか…もう行っていいの?」
「あ、最後に一つ、こちらをどうぞ」
そう言って手渡されたのは海外映画なんかでよく見る、リボルバーだった。
「ん?なにこれ?」
「リボルバーです」
いや見りゃ分かるっての。呆れ顔で更に質問を重ねる。
「そうじゃなくて、なんでリボルバーなのかを聞いてるんだけど?」
「日本に住んでいた証拠?的なものとして、というのは建前で、実はあなたが魔法を使うには別の道具が必要なんです。」
ほー……恐らくこれから僕が転移する世界とは別の体の構造を僕がしているからとみた。
「そのためのこれ?道具ならなんでもいいのかい?」
「いえ、これは私特製のものなのでこれでないと駄目です」
「えー、めんどくさいなぁ。無くしたらどうするのさ?」
これ無くして魔法使えなかったりしたら僕結構ショックだよ?魔法には結構憧れ持ってるんだからさ。
「ご安心ください。1度それをあちらへ軽く投げてみてください」
言われた通り、軽くポイっと投げると重力に抗うことなく拳銃はカチャッと音を立てて落ちた。
「それで?」
「戻れっ!と念じてみてください」
ほー、これはもしかするとシュイーンって戻ってくるやつなんじゃない?
手元に戻るように念じると遠くに落ちていたはずの拳銃ことリボルバーは僕の手元にフィットした。それにしてもこのグリップなかなか落ち着くなぁ。振り回してもそう簡単には飛んでいきそうにないぞ。
「こりゃすごい…!驚いたよ!」
「そうでしょう?これは私特製のものですから!どんなに遠くにあっても念じれば一瞬で戻ってきますし、どんな攻撃だってガードできちゃいます」
これなら無くす心配もないし、ひと安心だ。
「さて、そろそろ転移しますよ」
「はいはい、頼みますよーっと」
自称神はまた僕の方へ両手をかざすと、次は僕の足元に光り輝く魔方陣が出てきた。
「これでやっとあのクソみたいな現実からおサラバできるわけかー」
そう呟きながら、日本での思い出に憎しみを込め、大きな舌打ちをした瞬間に僕を取り囲む光がより一層強くなった。
「どうかお元気で」
その言葉を最後に僕の意識は光の中へ消えていった。
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