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(仮題)兄弟冒険者の受難  作者: 赤木嘉夫
3/3

神の悪戯とは厄災と同義パート3

謎のナイフを持ったまま僕たちは五分ほどで村長の屋敷についた。

屋敷と言っても他の家より少し大きいぐらいで豪華さは無い。


非常時の為挨拶もなしにドカドカと屋敷に勝手に入っていったが、先程の出来事で出遅れたらしく僕たちが最後だったようだ。

先に付いていた子供達の中でも年長者のものに

「心配したんだぞ!」

と、怒られてしまった。


小さな村なので子供と判断される14歳以下のものは10人程しかいない。

小さい頃からの付き合いなので皆僕たちを知ってるし、僕たち兄弟も皆を知っていた。


全員集まったのを確認した後は地下道入り口の扉に閂を入れジッとする。

こういう時は兎に角声や動作を押し殺し魔物が去るのを待つ。


やはり子供なので怖がっている子が多く固まってブルブルと震えている。年長者の少年は皆を小声で励ましながら一人一人あやしていく。

僕らはと言うとそれを尻目に少し離れた場所でヒソヒソと話し込んでいた。


「このナイフ、どう思う?」

「すごく怪しかったよねあの人。」

「だよなぁ、ちょっと嫌な予感がするし本当は捨てたいけど、捨てた方がまた凄く嫌な予感がする。」


兄さんがそう言う時は大抵何かが起こる。

前に僕が木登り競争で落下した時も、2人で勝手に村を抜け出して小さな魔物に出会った時も兄さんは

「嫌な予感がする。」

と言っていた。


ただその時はまだ子供でその経験も多くはなかった為

僕もその発言には注意していなかった。

兄さんが言う通りにしようと、そう思っただけで

わけのわからないナイフは持っておくことにした。







1時間ほど経った気がする。

実際には30分も経ってなかったのかもしれない。

年長者の少年が皆に小声で言った。


「そろそろ時間だ、もしあと少し待っても誰も大人が来ないならそのまま逃げよう。」


小さな子供達からすると、それは親と離れ離れになると言う残酷な宣言であった。

僕たち兄弟や年上の者達で泣き始めようとする小さい子の口を塞ぎなんとか堪える。

泣いていいなら泣きたいのは僕らも同じだ。



少しして

「さぁ、行こう。」

と、年長者の少年が立ち上がった時。


コンコン コンコン コンコン、と

扉を叩く音がして、村長の大きな声がした。

「もう大丈夫だ!そこにいるなら扉を開けてくれ!」



この村の危機は去ったようだが、僕らの危機はこれからだった。

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