魔物遭遇
歩き続けて10分。人の気配はまだないが、虫は普通にいる。しかし獣はまだ見ない。このまま何もなければ不味いことになる。いまはまだ食事どころか水分さえ摂れてない状態だ。3日以上この状態が続けば間違いなく餓死するとか考えてると、茂みから何やら音が聞こえ、それだけで妙な安心感を覚える。取り敢えず落ちている石を持ち、音がした方に投げてみる。
「ギャウ!」
「良し」
適当に投げただけだが、どうやら当たったようだ。いや、しまった。これで逃げてしまえば元も子もない。
「ギャウ!」
逃げるどころか向かって来てくれた。嬉しい誤算だ。取り敢えず仕留めて…
「グルルゥ!」
良く見たら獣じゃなかった。小さな体躯に緑の肌、錆びた剣に錆びた鎧。最も有名なモンスター、ゴブリンだ。
「ギャウ!」
ドタドタとたどたどしい動きでこちらに向かってくる。不謹慎にも、こいつは食えるのかとか見た目が気持ち悪いなど結構どうでもいい事を考えてしまった。
「…遅い」
「ギャ!」
中段の蹴りを食らわせる。…綺麗に宙に浮きかなりの勢いで木にぶつかり、血やら内蔵やらぶちまける。
「何だこれ?」
ゴブリンの身長は100㎝程度。どれだけ本気で蹴ろうが、ほんの少し浮き地面を転げ回る程度だろう。こんな漫画みたいな事にはならない。
「ステータスの影響か?」
恐らく当たっている。でもなければこの状況は説明つかない。だとしたらゴブリンのステータスはどの程度だろうか?
「見えるわけ無いよな」
じっくり死体を見るが何か見えるわけでもない。というか気持ち悪い。血の色が青って…
「さて、どうする…っ!」
頭の中で音が聞こえる。これは何だ?
「ステータスオープン」
ステータスを開いてみる。
NAME:グレン
AGE:18
SEX:MAN
LV:2
HP:C【12000】
MP:X【0】
ATK:C【1100】
DEF:C【1100】
MAT:X【0】
MDF:X【0】
AGI:C【1100】
LUCK:C【1000】
SKILL
標準異世界言語
SPECIAL SKILL
???&???
SKILL POINT:2
BONUS POINT:3
やはりレベルが上がっている。ステータスも軒並み上昇。だが運だけは上がらない。なにか条件があるんだろうか。取り敢えずスキルポイントを見る。
「ステータス表示出来るスキルは…無いな」
その手のスキルは見当たらない。仕方ない。スキルポイントは貯めておく。次にボーナスポイントを確認する。
「これはステータスに使えるのか?」
NAME:グレン
AGE:18
SEX:MAN
LV:2
HP:C【12000】加算値0
MP:X【0】
ATK:C【1100】加算値0
DEF:C【1100】加算値0
MAT:X【0】
MDF:X【0】
AGI:C【1100】加算値0
LUCK:C【1000】加算値0
SKILL
標準異世界言語
SPECIAL SKILL
???&???
SKILL POINT:2
BONUS POINT:3
ステータスの隣に見える値を変えることが出来るみたいだ。なら何を上げるかだ。体力が良さそうに見えるだが、例えば心臓を貫かれて生きていられるだろうか?いや無理だろう。攻撃力は無難だ。さっきのゴブリンへの威力はこいつの影響が大きいはずだ。
「まず攻撃力に2ポイント、もう1ポイントは…」
防御力か敏捷。運はないな。戦闘に使えない。防御力は使えそうだが、実際自分の身体を傷つけ試す気はない。そもそも攻撃を食らわなければ良いとなると、敏捷が重要になってくる。少し走ってみよう。
「うお!」
足場が悪い場所なのにちょっとした自転車より速い。しかも息切れも疲れも感じない。
「よし、敏捷に振ろう」
NAME:グレン
AGE:18
SEX:MAN
LV:2
HP:C【12000】加算値0
MP:X【0】
ATK:C【3100】加算値2
DEF:C【1100】加算値0
MAT:X【0】
MDF:X【0】
AGI:C【2100】加算値1
LUCK:C【1000】加算値0
SKILL
標準異世界言語
SPECIAL SKILL
???&???
SKILL POINT:2
BONUS POINT:0
…何かとんでもなく上がってる。1ポイントがランクアップの1割分相当だ。つまり10ポイント振り込めばランクアップする。でもすぐにランクアップするとは限らない。ランダムで1~3ポイント。毎回3ポイント貰えると思わない方がいい。
「よし、行くか」
ともかく町に行き情報が欲しい。さっさとこんな森抜けてしまおうか。