リトライ
楽しんで頂ければ幸いです。
その日から自分の全てが壊された。何もかも失いそれでも生きているのは自分でもわからない。何故こんなことになってまで自分は生きなければならないのか、神様とやらがいるのなら聞いてみたい。
今日もいつもと変わらない退屈な日だった。いつも通り学校へ行き授業を受け家に帰る。それだけだった。帰り道の交差点、横断歩道を渡っている最中目の前で大型トレーラーが横切った。自分は轢かれない位置だったが、そこに子供がいた。気が付いたときにはその中に飛び込んでいた。死ぬとわかっていたが不思議と迷いはなかった。
目が覚めるとそこは白い空間だった。
「ここは…」
「ここはあの世とこの世の狭間とでも呼ぼうか」
そこに白く輝く丸い玉が浮いていた。
「お前は?」
「神様…かな」
神様…ね
「そうか。で、俺はどうしてここにいる?」
「君、こんな所に急に来たのにやけに落ち着いているね」
「そうだな、正直どうでもいいからかもな」
「どうでもいい?」
「昔から興味がないんだ。自分の事も他人の事も」
あの日から自分の全てがどうでもよくなった。今もそれは変わっていない。
「それはおかしいね。此処に来れる人間は決まって…おっと危ない危ない、これはダメなやつだ」
「いいから俺はどうなった?」
「結論から言えば君は死んだ。子供を守ってね」
「そうか、ならいい」
自分の人生で何か一つ残せたのならそれでいい。
「しかし、君にはチャンスを与えられた。別の世界でもう一度生きられるチャンスをね」
「別の世界、異世界ってやつか」
「そう、そこで生きてもらう。理由は色々あるけど、一番の理由は君に未練があるからかな」
「未練?」
「そう人生のね」
「そんな人間たくさんいるだろ」
「そう、その中で君は特別凄い為チャンスが与えられた。新しい人生を謳歌して満足して亡くなってもらう為に」
「ありがた迷惑だな。俺に未練なんてないのに」
それどころか死を望んでいた。生きる理由も目的もなかったのだから。
「いいや、それは君の本心じゃない。どれだけ偽ろうとも自分自身を騙し続ける事はできない。君に与えるのは、君が満足する人生と君の心の奥底で願った力だ」
「願った力?」
「次の世界は異種族も魔法もある。その特殊技能とでも思ってもらえればいい」
「俺はそこでどうすればいい?」
「それを決めるのは君自信だ。それでは良い人生を」
そこでまた俺の意識はとう退いた。
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