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神々の、黄昏(1)

VSラグナロク、決戦。


「カイト…どこにいくの?」


ジェネシス本部の通路を歩くカイトの前、壁に寄りかかって腕を組んでいるエリザベスの姿があった。

相変わらずゴシック調のドレス姿の少女は顔を上げ、不安を隠せない瞳でカイトを見つめていた。


「…決まってる。 判ってんだろ? もう、じっとしてなんかいられねぇ…」


「…リイド・レンブラムを…探しに行くつもりなの?」


頷き、それから横切ろうとするカイトの手を取り、少女は首を横に振る。


「場所もわからない、方法もない…それでどうやって見つけるつもりなの?」


「…悪いな。 俺、馬鹿だから。 そういうの考えなきゃいけないってわかってんだけどさ…駄目なんだ。 じっと待ってるなんてもう、出来ない」


強い眼差し。 胸を強く打つような不思議な力のこもった瞳。 素敵で、うらやましくて、思わず息を呑んだ。

ひらひらと舞うレースの袖から伸びた白い指先はきゅっとカイトの手を掴んだまま離さない。 カイトは目を細め、静かにその肩に触れる。


「自分に、嘘はつけない…。 俺は、リイドのダチだから…。 そして何よりも…いや、きっと理由なんてどうでもいいんだ。 俺は―――カイト・フラクトルは、自分自身であるために、行かなくちゃならない。 それをしなかったら、俺はもう俺じゃなくなっちまう」


金色の髪の合間から覗く蒼い瞳。 長身の少年は屈んでエアリオの視線に自分の視線を合わせ、迷い無く語る。


「あいつはきっと生きてる。 あいつの命も、俺の命も…イリアが守ってくれたもんだ。 だから…あいつがそれを失うわけがないんだよ」


「…どうして信じられるの? エアリオさえ、死んだっていうのに」


「あいつも死んだわけじゃねぇ。 まだ生きてるなら―――何度だっていい。 やり直せる。 あきらめたり屈したりしねえ。 強く在る為に」


それは幾度と無く繰り返し彼らの心を支えてきた強く在る為の言葉。

屈せず、諦めず、閉ざさず。

前を見て、強く、強く、がむしゃらに前に進む為に必要だった、おまじない。


「まだ…あの女の子の事、引き摺ってるのね」


「ははっ。 引き摺ってるわけじゃねえさ。 あいつはもう居ないけど…でも、俺があいつを忘れたわけじゃない。 あいつが残してくれたものは無駄になんかならないし、永遠に消えたりしない。 だからもう、いいんだ」


過去は変わらない。 それに固執していても仕方が無い。

怒りや憎しみや悲しみや後悔も全ては過去を起因とし未来へ進むその両足を絡めとる鎖。

ならば、それはもう捨て置こう。 考えたところで結論を出せるほど、元よりこの頭は優れてなど居ない。


「ラグナロクをぶっ潰したいって気持ちは、今もある。 けど、スヴィア先輩が何を考えていたのか…俺も知りたくなった。 子供だからって除け者にされて、大人のいいように踊らされるのはもう勘弁だからな。 俺は俺なりに、世界の真実に立ち向かうさ」


知るためには、資格が要る。

抗うためには、勇気が要る。

歩むためには、大地が要る。

子供だから知らなくていいなんてことはない。 それを知り、理解し、その現実を踏破してこそようやく、子供は大人になる事が出来る。

つらい過去や未来から目をそらす事は出来ない。 そんな事をしている限りは永遠に子供のままだ。

自らの心の闇や悲しみや苦痛と向かいあい、それを乗り越え、そして誰かに優しく出来るようになれたのならきっと。


「そうしたら少しは俺も、大人になれるんじゃないかと思う」


「あたしは…どうなのかな」


戦う為に生み出され、作られた命。

それを誰にも語れず、誰もそれを知らず、知っている人間は戦えと促してきた。

自分の元となったオリジナルに絶対的な劣等感を抱き、それを超えられないと自らに言い聞かせてきた。

自分自身の翼をもいで、飛ばない事で墜落する事を恐れていた雛鳥。 それは誰もが同じ事…諦めや言い訳で人は己を守り続ける。

しかし、カイトは違う。 カイトは、本当に、強い男の子なのだ。 大空へ羽ばたき、失墜する事を恐れない。

それはまぶしすぎるものだった。 この町に来て、この町の人々を眺めて、エリザベスの心の中に起きた微かな変化。


「あたしも、みんなみたいに…運命に抗えるかな?」


「お前はもう、十分運命に抗ってるじゃねえか」


「…違う。 あたしは何もしてない。 まだ、何も…。 だって今まで何も、何も、考えてこなかった。 自分のやっている事の是非や善悪も、考えてこなかった。 考えれば悲しい答えが出るのがわかっていたから、それから逃げてただけ…。 あたしは、ずっとずっと、逃げてただけ…」


「それに気づいて、駄目だったんだって後悔出来たなら、運命に抗う第一歩だ」


少女の頭をくしゃくしゃと撫で、白い歯を見せて無邪気に笑うカイト。


「思いっきりヘコめ! んでもって、這い上がって…何度でも、這い上がって…そういうもんだろ人生って? 生きるってことはよ。 これから生きていればヘコむことなんて腐るほどあらぁ。 そのたび死にてえって思うかもしれない。 でも…生きてる限り、終わるわけじゃねえ」


「生きてる限り、終わらない?」


「死にたくても、死んでしまったらそこでアウトだ。 だから俺たちは頑張って生きてる。 生きてる限りは傷ついて、伝えきれない言葉や思いもたくさんある。 それでもまだ終わらないなら、どこかで挽回出来るさ。 だからそのいつかが訪れるように―――『今』を諦めたりしない」


強く握り締める拳。 そこに何を見出すのだろう? 友情、愛情、勇気、絶望、悲壮、挫折。

様々な想いがあるだろう。 しかしそれで構わない。 人は苦しみ突き落とされ這い上がり、答えを見つけてまた苦しむ。

その繰り返しなのだ。 全てが順調に行く事などない。 そう思うのならば、それはそう錯覚しているだけのこと。

人の苦しみの種は絶対に尽きない。 生きているだけで誰かを傷つけ殺めねばならない存在が人ならば、それをなかった事になど出来はしない。

罪と罰を受け入れる。 絶望と希望を受け入れる。 失う事と得る事は表裏一体―――明日へ続く全ての可能性。


「自分が間違っているかもしれないと思うのなら、胸に手を当て考えるんだな」


「…」


「安心しろ。 これが終わったら、お前の事は自由にしてやる。 もう、レーヴァテインもないんだからな…」


「あたし…」


「じゃあな、エリザベス」


「まっ…! 待って!!」


飛びついていた背中。 大きすぎる身長差。 カイトは振り返り、エリザベスを見下ろした。


「私、知ってる…! リイド・レンブラムがどこに連れて行かれたのか…!」


「…でも、それは…」


「裏切りだけど、いい…! みんなだって、戦いたいわけじゃないもの…! 私が、変えてみせるんだ…みんなの運命を…。 だからお願いカイト! あたしを…」


あたしを、助けて。


泣き出しそうに揺れる少女の瞳。

そこに映りこんだ少年は優しく、そして強く微笑んだ。




⇒神々の、黄昏(1)




「アイリス…? アイリスなの!?」


それは、アイリスが今まさに家を出ようと玄関先に立った時に起こった。

久々の親子の再会。 アイリスの母、リエラは会社帰りのスーツ姿で娘と正面から向き合っていた。

思いも寄らない再会に思わず視線をそらすアイリス。 自らを娘が拒んでいる事がわからないほどおろかな母ではなく、気まずそうに微笑んだ。


「よかったわ…。 ジェネシスの人が来て、事情は説明してくれたけれど…。 ずっと…心配していたのよ。 あなたのこと…」


「あなたが…ですか?」


「そうよ。 アイリス…アイリス? どうしたのその格好は…それにその荷物…」


リエラの視線の先、アイリスの足元には大きな旅行用の鞄がおいてあった。

見ればアイリスの姿は私服にコート姿であり、今からまさにどこか遠くへ出かけようとしている事が一目瞭然だった。


「どこに行くつもりなの…?」


「あなたには…関係ないじゃないですか」


「関係ないって…」


「こんな遅くまで、何をしていたんですか…? また私の知らない男の人のところですか…?」


リエラ・アークライトは言うまでも無く美人だった。

若すぎるほどの年齢で結婚し、イリアとアイリスを産み、幸せな家庭を築いた。 そう、夫が死ぬまでは。

それから全てが変わってしまった。 心のそこから愛する人を失ったリエラは娘たちと向き合う事を恐れ、家庭に寄り付かなくなった。

それを幼い頃から見ていたアイリスにとって母は信頼に足るような人物ではなく、出来ればもう一人で生きて生きたいと思うほど、家によりつきたくないと思うほど、むしろ憎しみの対象ですらあった。

弱い母と強い姉。 パワーバランスの逆転した過程で母の権威は地に落ちた。 少女は、少女のままのアイリスは、それを直視する事を嫌っていた。

自分もいずれはそうなってしまうのではないかという悪寒。 同属嫌悪。 様々な感情が素直さを殺ぎ取り、それを母と呼ぶことさえ辛辣なまでに心が拒絶する。

娘に正面からそう切り捨てられるのにも慣れ、リエラもいつしか何も言わなくなっていた。 言い返すことの不毛さと、両者の間にある埋めきれない巨大な溝を理解していたから。

傷つかない為に大人はずるく生きるものだ。 そうしたほうが自分が苦しくないという方法を長く生きているうちに少しずつ学び取っていく。 それが知恵というものだ。 その知恵の恩恵にあずかり、いつしか母親としての義務を放棄してしまっていたのかもしれない。


「あなたは姉さんが居なくなった時もそうだった…。 いつもいつも…! 大事な時に居てくれないっ!!!」


悲痛な叫びだった。 正面から言い争いをする事さえ、もうずっと無かった事だった。

イリアが居なくなり、やり場の無い感情をぶつける相手さえアイリスにはいなかった。 それを受け止めて笑ってくれたのが、リイドだったのだ。


「孤独だったのに…! あなたに私の気持ちなんて絶対にわからないっ!!! 私は私の大事な人を助ける為に行くの! もう、ここには戻らないっ!!」


「そんな…。 あなたもまさか、イリアと同じように…」


「もう、止めてよ…ッ! もう、話しかけないで…! 聞きたくない! 聞きたくないのっ!!」


「待ちなさい、アイリス! アイリスッ!!!」


鞄を手に飛び出す玄関。

背後からの声が聞こえなくなるのにそれほどの時間はかからず、走り続ける夜の街の中滲んだ涙は暗いアスファルトに呑まれて消えた。


「はあっ…はあっ…」


涙を拭いながら顔を上げる。 もう戻らない。 誰かに止められても構うものか。

それは子供らしい幼稚な発想だった。 一人で出来ることなど何もないと判っているのに、何故そうしてしまうのか。

様々な矜持や感情が思考を麻痺させる。 居ても立っても居られないのなら、走るいしかない。

シンプルだ。 そんなものだ、人間は。 そこに理屈は求めない。

痛みを背負う事を恐れないのが愚者の行軍ならば。


「私は…好きだ…! やっぱり…好きなんだ…!」


涙は拭う。 息を切らし、それでも想いは変わらない。


「諦められないよ…! 諦められるわけがない…っ! だって私は…!」


唇をかみ締める。

不安ならば海の様に眼下に広がっている。

ならば泳ぎきって見せようではないか。


真紅の髪を靡かせて、少女は夜の街を走る。




「生命の意義は…どこにあるのかな」


夜の街の喧騒から離れた場所にあるスティングレイ家の道場にオリカの姿があった。

この数日間、ずっとそこに篭り自らを省みていた。 何をどうするべきなのか、判らなくなっていたから。

大事すぎる人が居なくなり、その痛みはしかし実感の無いものだった。

失った気がしない。 まだこの世界のどこかで彼は生きているという確信めいた予感がある。

故に他の誰よりもオリカが苦悩せず、悲しみもしなかったと言えるのかもしれない。

しかし迷いは誰よりも強い。 今までの自分ならば止めるもの全てを薙ぎ払ってでもヘイムダルでリイドの元に駆けつけたはず。

それを何故かそう、背後から少女に飛びつかれただけで。 振り払う事など造作も無い細い腕に絡まれただけで、身と止めてしまったという事実。

燈柚凪鶫というもう一つの名に恥じぬように振舞わねばならない。 自らの愛した人を守る為にすべてを犠牲にする覚悟が無ければ成り立たない。

戦うことも、争う事も、守るという一本筋の途中に転がっている路傍の石くらいにしか考えていなかったというのに。


「弱くなっちゃったのかなー」


伝家の宝刀を抜き、静かに構える。

力が衰えたわけではない。 ただ、生じた迷いは決して軽くはなく、オリカ・スティングレイという存在の根本を揺るがすほどのものだった。

言ってしまえば誰よりも真実に近い場所に居る彼女はそれ故に己の行動を拘束される。 しかし考えるのも今日までにする。

紫檻(かたなを鞘に収め、ジーンズのベルトに挿して道場に背を向ける。


「もう、夢みたいな結末にはさせない…。 そうでしょ、レーヴァテイン…」


いつものゆるい笑顔を作ってみせる。

リイドはそれを見て笑ってくれる。

だから自分の笑顔も好きになれた。

それがどれだけ、自分が苦労して会得した作り物の笑顔だったとしても。


「行こう。 燈柚凪鶫。」




それぞれ、たった一人でリイドを探しに行くつもりだった。

だというのに全員がジェネシスの格納庫に向かう廊下で鉢合わせ、お互いの姿を見て苦笑を浮かべた。


「いいのかな、二人とも? もしかしたらクビになるかもしれないよ〜」


「リスクは承知の上です」


「そもそもお前らどこを探すつもりだよ?」


「「 適当に 」」


女子二人が真顔で答えるのを見てあきれるカイト。 その影から顔を覗かせた少女を見て二人はジト目でカイトを見返した。


「カイト先輩…その子、連れ出すつもりですか?」


「ああ。 ラグナロクのアジトを知っているのはエリザベスだけだ」


「そうよ。 せいぜいあたしに感謝しなさい」


「大量殺人者のくせに何をいうんですか」


「これだからちっちゃい女の子は困るんだよ〜」


「なんですってえ!?」


「ま、まあ落ち着けよ…。 これから俺たちだけでリイドを探さなくちゃならないんだからさ…」


にらみ合う三人の間に割って入り、一触即発の空気を何とかなだめるカイト。

これは一筋縄には行かないだろうなと改めて認識しながら疲れた笑顔を浮かべた。


「そんじゃま、あの馬鹿を探しに行きますかね」


頷く四人。

深夜の格納庫に向かい、四人は走り出した。





それとほぼ同時期、月面にて地上からは観測出来ない…しかし、巨大な爆発が巻き起こっていた。

月面の五分の一ほどを薙ぎ払う巨大な光の爆発。 暗い宇宙の闇に差し掛かる一筋の光。 生命の存在しない大地、しかしそのわずかな生命の可能性すら無に帰す光。

迸る白と黒の光の中、それを切り裂いて伸びる巨大な腕が二本。

空間を切り裂き、ずるずるとゆっくりとこの世界に現れた化け物は、神々しい光を放つ翼を背に金色の光を放つ瞳で世界を見つめていた。


「―――見つけた。 こんなところにいたんだね」


少年の声が聞こえる。

美しい声だった。

光に包まれたそれは静かに息を吸い込み、大空に猛り叫ぶ。

その声は何者にも聞こえず、けれどもこの世界に存在する何名かの命は感じ取り、眉を潜めた。


「くっ…! これは…ついに追いついてきたのね…彼が」


司令部で胸を押さえ、歯を食いしばるリフィル。

耳鳴りのように聞こえてくる全身からの警告。 遠く離れた場所にこの世ならざるものが生み出された事に対する世界の警告だった。

リフィルのほかにもそれを感じ取っている人間は存在していた。 オリカ、リイド…そしてスヴィア・レンブラムである。

耳に聞こえるわけではない、ただ魂が発する警告を聞きながら冷や汗を流し、微笑を湛える。


「ついに来たか…運命の時が」




「どうした? オリカ」


「えっ? あ、うん―――なんでもない」


それは予感のようなものだった。 知るはずも無い悪寒が背筋を駆けぬけ、一瞬何も考えることが出来なくなる。

胸騒ぎがする。 今まで確かに感じていたリイドの存在が少しずつ消えてしまうような、そんな焦燥感。

格納庫に進入した四人は自分たちの機体に駆け寄り、起動に取り掛かろうとする。 しかし次の瞬間格納庫の照明がつき、入り口からルドルフが現れた。


「こんな夜中に揃って何の用だ?」


「ルドルフ…! いや、これは…そのっ!!」


カタパルトエレベータを使うにはオペレーターであるユカリかルドルフの操作入力が必要になる。 どちらにせよ二人のうちどちらかを強制的にでも手伝わせない限り出撃は不可能だったわけだが、まさか正面からいきなり遭遇するとは思っていなかった。

ぶかぶかの白衣のポケットに両手を突っ込んだルドルフは嫌味な笑顔を浮かべ、カイトを見上げた。


「機体の調整は済んでる。 カタパルトエレベータハッチもまあ…『何故かロックし忘れていた』かもしれねぇなあ」


「る、ルドルフ…?」


「リイドのやつを助けに行くんだろ?」


「あ、ああ…」


「好きにしろよ。 俺様の知ったことじゃねえや」


「いいのか…? そんな事をすれば、お前だって…」


「それは承知の上よ」


インカムを装備しながら歩いてくる私服のユカリ。 ウィンクしてみせると、端末の操作を開始する。


「エリザベスから聞いた座標を入力して。 誘導信号を出すわ。 カタパルトエレベータに移動して、四機まとめて出撃させるわよ」


「ユカリさんまで…」


「カイト君」


「は、はい?」


「私たちは何も出来ないから…。 だからこんな事しかしてあげられない。 結局戦場に貴方たちを送り込むことしか出来ないから…せめて、これくらいはしてあげたいの」


誰もがリイドの帰還を願っていた。 想いは一つだった。

それぞれが思い悩んで出した答え。 カイトは頷き、彼らの厚意に甘えることにする。


「よし…カタパルトエレベータに移動! 全機出撃用意ッ!!」


「「「 了解! 」」」


重なる声。 操縦桿を握り締め、カイトは心の中で呟く。


「待ってろよ、リイド…今行くからな」





四つの影がヴァルハラを離れる頃。



月面より飛来した一筋の光が恐ろしい速度で地球に近づいていた。


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