表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

当て無き旅

作者: 染井吹雪

 眠気眼を擦り、空を見上げる。

 ボクは何を求めて旅をしているのだろう。

 最初は何かを追って、旅を続けていたのだと思う。

 しかし、それが何年も過ぎていく内に薄れて行き、果てには何も無くなった。

 それでも、ボクは続けていくのだろう。この当て無き旅を。

 空はどこまでも暗く影っていた。


 全ては夏の終わりの事だった。

 ボクは一人、町のはずれにある藁束の上で寝そべっていた。

 することも無く、ただただ空を見上げていた。

 青く澄んだ空はボクにはとても眩しくて、目を細めながら見上げていた。

 時間とは何もしていなくても過ぎていくもので、雲は流れ、風が凪ぎ、そして人は町を動き回る。

 そんな人たちにボクは馴染めなくて、ただ息苦しくて、でも何もする気も起きなくて。

 誰かが手を差し伸べてくれたなら。

 そう考えているボクがいた。

 そんなとき、村には一人の青年がやってきた。

 ソイツは一人、馬を牽いて旅をしていると言った。

 ボクには、ソイツが眩しく見えた。

 だけど、ソイツはボクに言った。「キミがとても羨ましいよ」と。

 その言葉はボクの心に重く圧し掛かった。

 ボクはソイツに「オマエも同じ事すればいいじゃん」なんて言っていた。

 ソイツはボクの言葉に笑っていった。

「そう出来たらいいのに」

 ボクはその言葉に何も返す事は出来なかった。


 全てはあの夏の終わりの事だった。

 ボクの旅が始まったのは。

 どこまでも、どこまでも遠い世界へと。

 ボクの当ての無い旅路は続いている。

 アイツは元気にしているのかな。

 ボクは今でも藁束の上でアイツを探す旅を続けている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ