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思い出に幸あれ【中編・1】

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 ……あの日、僕は両親と共にここを訪れていた。

 「両親」と――それから、後は。


(――――誰か、居たような)


 思い出せない。確かに、あの記憶には「四人」の登場人物が居た筈だ。しかし、四人目の姿があった場所にぽっかりと空白ができている。


 最後のパレード、そして居た筈のもう一人。それが、この場所で僕が失くした二つの記憶だ。

 あの日の後、不思議に思って家を調べたがそこにもう一人が居た証拠は見つからなかった。寧ろ、「ここには初めから三人しか居ない」と強調するような証拠ばかりが見つかり、逆に怪しくすら感じてしまう程だ。


(……何を、失くしたのか)


 そう思いながら、思い出にある場所を辿る。

 観覧車、メリーゴーランド、コーヒーカップ……幼少の自分が乗れたものなどたかが知れており、記憶を辿る旅路はすぐに終わった。


 けれど、何も思い出せない。後は、夜まで待ってパレードを見るだけか――そう考えていた、その矢先。


 ――――あはは、次はこっちに行こう。


 そんな、子供の声が響いて来る。それもただ耳に触れる声ではなく、脳に直接響いて来るエコーのかかった奇妙な声。


「――――――――!?」


 不意に、誰かが手を引いた。

 見ると――半分透けた子供らしい小さな手が、僕の腕を引っ張っている。

 

「わっ、ちょ…………!」


 子供らしい手の割に、その力は凄まじかった。

 振り解くこともできず、ただ人混みの中を猛スピードで引き摺られていく。不思議なことに、途中幾度も周囲の人々に衝突した筈なのだが……彼らは、誰一人としてこちらに視線を向けなかった。


 そして――暫く経って、僕の身体が人混みを抜ける。

 

「……………………え?」


 ――――そこには、楽しげな夜が広がっていた。

 あの日の続きが始まりそうな、幸福が歌う夜の遊園地の姿が。

                

                   〈続く〉

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