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家族の在り方

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「ゲームばっかりして、宿題はやったの?」

「うるさいなぁ、今やろうと思ってたんだよ」


 ある日、気紛れに見ていたドラマの中でそんな親子のやり取りが描写された。

 勉強をさせたい親と、それを口煩く言われることが気に食わない息子――「ごく普通の家族像」として描かれるそれが、僕には酷く違和感に思えた。


 自分で言うのもどうかと思うが、僕は不真面目な人間である。宿題はしょっちゅう忘れるし、授業でも寝ているからテストの点数も壊滅的。となれば当然、成績表も笑えない評価ばかりが記載されている。


 だが、僕は親に「勉強しなさい」などと言われたことは今までただの一度もない。絶望的な成績を見せても、両親は興味なさげに「あ、そう」と言うだけだ。

 うちが過度に無関心なのか、ドラマの中の家族関係が過干渉であるのかは知らない。ただ、どちらに親子の愛情を感じるかと問われればそれは後者であると思う。


 別に、家族として破綻している訳ではない。仲が悪いとも思わないし、寧ろ息子(ぼく)の年齢の割には仲が良い方ではないだろうか。

 だが、干渉をされた記憶はない。称賛、肯定、叱責、否定……それらの親子らしい干渉は、我が家で一度も起こらなかった。


 ……もしや、愛情が無いのだろうか。

 一瞬だけそう考えて胸の痛みを覚えたが、考え直せばその痛みはすぐに消え去った。


 切っ掛けとなったのは、自分自身の記憶である。

 これまでを思い返す中、ふと気付いたのだ。


 自分も――両親の在り方に干渉したことは、ただの一度もないことに。


 両親は自由な人だ。それ故の失敗も多くするし、勝手な行動をとることも良くある。

 けれど、それを否定しようとは思わなかった。そうすることが、自分達にとって最善であると知っているから。

 

 ……無関心ではなく、不干渉。

 きっと、これも家族の在り方なのだろう。多少歪だが、それで間違っていなかったのだ。

 家族といえ、所詮は他人同士である。それを繋ぎ合わせるのは、共通している価値観だ。

 これで良い――そう結論付けた僕は、ぼんやりとドラマに目線を戻した。

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