とんびが鳴く
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――――ぴぃぃ、ひょろろ。
遠くで、とんびの鳴く声がした。こっちに来そうな気がして、くるりと空を旋回する。
「やぁ、どこへ行くんだい」
そのまま暫く飛んでいると、隣に烏が並んできた。
「………………」
無視してそのまま飛ぶ。
烏は嫌いだ。小狡くていつも嫌がらせを仕掛けてくるし、何より近くにいると変な臭いがする。
「無視は酷いよ、友達じゃないか」
けれど、烏はついてくる。あまりにしつこいから飛ぶのをやめて、建物の上に着陸した。
「友達なもんか。この間、僕を鷹から逃げる囮にしたのを僕は忘れてないんだぞ」
「あれは事故さ。あの鷹が二択で君の方を選んだ、ただそれだけの話だろう」
どの嘴で、と烏を睨む。
「何が事故だ。あの時、わざと僕の方が狙い易くなるように飛ぶコースを誘導したのは分かっているぞ」
「疑り深いなぁ、それは君の気のせいだよ」
そう言って、烏は嘴の端を吊り上げる。
全く、本当に嫌なやつだ――そう思いながら大きく羽を広げ、改めて空に飛び立った。
「ああ、待ってくれよう」
それでも尚、しつこく烏は追ってくる。振り切ってやろうと速度を上げるが、烏もそれに合わせて速度を上げぴったりと後ろについてくる。
「しつこいぞ、いい加減どこかに行けよ」
嫌気が差したので強い口調でそう言うと、烏は申し訳無さそうに目を伏せる。
「そっか……ごめん。嫌な気持ちにさせたみたいだね。
自分勝手に友情を押し付けてしまった。悲しいけど、ここでお別れにするよ」
そう言って、烏は突然逆方向へと飛び去って行った。
「……流石に、言い過ぎたかな」
嫌なやつだが、あの顔を見ると少し罪悪感が湧く。
仲良くする気はないが、まぁ謝罪くらいは――そう思って方向を変えた、その瞬間。
――――ぴぃぃ、ひょろろ。
すぐ近くで、とんびの鳴く声がした。そして、鋭い痛みと共に――僕は、地上へと叩き落とされた。




