表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/200

ある日の正午

投稿しました!

良ければ評価、感想よろしくお願いします!

「おじさん、こんなとこで何してんの?」


 ある日の正午過ぎ。公園のベンチで惣菜パンを食べていると、不意に声を掛けられた。

 話しかけてきたのは、いかにもギャルと言った感じの女だ。改造されてはいるものの、制服には近所の高校のものと同じ特徴があるから恐らくはそこの生徒だろう。


「見ての通り昼飯だ……と言うか、それは俺が言うべき台詞だろう。お前、学校はどうした」

「早退ー。ちょい寝不足でさ、授業全部寝てたら「やる気ないなら帰れー」とか言われたの」

「それ、本気で帰る奴いるのか……」

「あはは、ここにいるよん」


 初対面にも関わらず、女は気さくに笑いかけてくる。

 初めは警戒していたが……こうも無邪気な表情を見せられてしまうと、疑うのが馬鹿らしくなる。


「ねーねー、お昼それだけ?」


 そんな自分にやや呆れていると、女は隣に腰掛けて俺の持っているパンを指差した。


「そうだけど……やらんぞ」

「いや、要らないし。てゆかさ、そんだけで足りんの?」

「おっさんの胃袋なんてこんなもんだよ」

「ふーん、そうなんだ……」


 女は少し考え込む。俺は何が何だかよく分からないまま、取り敢えずパンを口に運び……そして、ある重要な事実に気が付いた。


「そう言えばお前、結局何で話しかけて来たんだ?」


 聞くのを忘れていた。と、女は急にきょとんとした顔で聞き返して来る。


「や、別に。なんとなく、じゃ駄目なの?」

「いや、駄目じゃないが……知らんおっさんにいきなり声掛けるなよ。変な奴だったらどうする」

「大丈夫だよ。こう見えて、人を見る目には自信あるし」

「何だ、その自信……」


 結局、女のことはよく分からなかった。

 その後も軽い雑談はしたが、素性についての詳しい話はお互い何も聞いていない。

 ただ、まぁ――なんとなく、いつもの昼飯よりは楽しかったような気がする。


 ……が、それはそれとして。娘には警戒心の教育をちゃんとしよう、と思ったのもまた事実であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ