検証:蜜柑で友達はできるのか
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ある日、父から荷物が届いた。
開けてみると中身は多量の蜜柑で、それを見て辟易した私は「はぁ」と小さな溜息を吐く。
「……一人暮らしでこの量は無理だって」
地元で蜜柑農家を営む父から送られてきた蜜柑は丸々一箱――重さにして、約二キロ前後。どう考えても一人暮らしの若い女が受け取り切れる量ではない。
まぁ、お節介な父のことだから「ご近所さんや友達に配る分」も合わせて送って来たのだろうが……生憎だが父よ、貴方の娘にそんな人間関係は無いぞ。
花の女子大生である私だが、その大学生活はこの蜜柑のように美しく色付いてもいなければ特段甘酸っぱくもない現状である。
大学には話せる相手こそいるが「友達と呼べるか」と聞かれれば首を傾げる程度の関係性だし、ご近所さんに至っては隣室の人相手でさえゴミ捨ての際にすれ違っても会釈すら交わさない始末だ。
そんなコミュ症が、この量の蜜柑を貰ってどうしろと言うのか……考えて、ふと閃いた。
――――この蜜柑を利用して、関わりを持てば良いのでは?
それこそご近所さんに配って関係を持つのも良いし、大学の話せる相手に配って明確に「友人」と呼べる関係性を築くのも良いだろう。いや、これはかなり名案なのでは?
そうだ、ならいっそお菓子にでもしようか。そうしたら「お菓子作り」と言う会話の切っ掛けも作れるし、美味しければ「お菓子作り教えて」なんて展開も……ふふふ、楽しくなってきた。さぁ、そうと決まれば早速始めよう――――!
◇
……えー、はい。取らぬ狸の皮算用でした。
私は今、一人必死に箱の蜜柑を口に運んでいます。それどころか大学でも食べてるから周囲で密かに「蜜柑女」とか呼ばれ始めました。
――――え?お菓子作り?ああ、素人が手を出すもんじゃないですね、アレ。苦くてべっちゃべちゃで、翌日お腹壊しました、はい。




