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僕は「鼠」と言うらしい

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 先日初めて知ったことだが、僕は「鼠」と言うらしい。

 寒い時期、共生していた生き物の巣で偶然その名前を聞いた。以来、僕は周りにそう名乗るようにしている。


 その生き物は、僕を嫌っているようであった。

 僕が食べている途中で置いておいた甘い植物を嫌そうな顔で捨ててしまう上、食べ物を置いてくれたと思ったらそれが毒で死にかけたことすらもある。


 何か悪いことをしただろうか。僕は少し首を傾げた。

 寒い時期が来たから暖かい場所を探して、たまたま見つけた大きな生き物の巣に入り込んだ。

 そして、此処が居心地良かったから寒い時期が終わるまで共生させて貰うことにした。歯も研げるし、多過ぎる程に食料が備えられていたからである。


 ……もしや、それが理由なのだろうか。だするなら、なんと器の小さな生き物だ。

 大きいと言っても森にいる茶色い奴程ではない。だから寒い時期を全て使ってもあれほどの量の食料は食べきれない筈だ。

 それに、歯を研ぐものにしても巣の端にある不要そうな木だけを使用していた。確かに、その時にうっかり細い紐みたいなのを千切ったりしてしまったが……あんなもの、寧ろ巣にあると邪魔なくらいだろう。


 その程度のことで、食べもしないのに殺そうとするなどあまりにも残酷。全く、何という生き物だろうか。

 ……しかし、あの生き物の巣が僕達にとって最も住み良い場所であることも事実だ。

 暖かく、食料もある。あの生き物含め危険が無いと言う訳では無いが、この小さな体を活用すればある程度の安全は保証できる。寒い時期の棲家として、これ以上ない好条件の場所だ。


 故に危険だと分かっていても、寒い時期には必ず此処を棲家にしようと訪れてしまう。今年もそうしよう、と思い僕はそこを訪れた。


 と、不意に奇妙な匂いが鼻に入り込む。

 自分のものとは違う匂い。それより遥かに野生的で――そして、遥かに獰猛な匂い。


 警戒しながら歩いていた時、不意に目の前の暗闇で金色の石が二つ光った。そして、それは凄まじい速度で現れ凶暴な鳴き声を上げる――――



 「――――フニャーーーーーーーーッ!!」


 僕は意識を失った。そして、二度と戻れなかった……

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