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思わぬ決着

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「結局さ、今が楽しいことが一番重要なんだよ」


 男は言った。女はそれを聞いて「はぁ」と一つ溜息を吐き、呆れたような目で男を見る。


「今がどれだけ楽しくても、未来で苦労したら本末転倒ってやつじゃないの」


 女は言った。しかし男は嘲るような表情で首を横に振り、女の言葉に反論する。


「命なんて、いつまで続くか分からないじゃないか。もしかしたら一秒先、ここに隕石が落ちてきて二人とも死ぬかもしれないんだ。

 人は刹那の先ですら、未来がどうなっているかを認知できない。なら、確実に生きている今を大切にした方が正しいに決まっているだろう」


 男の言葉を聞き、女はまた溜息を吐いて額を抑えた。

 そして、今度は蔑むような目線を男の自慢げな顔に向ける。


「昔ならどうか知らないけど、今は技術が発展して死ぬ確率は格段に下がってる。貴方が言うような事態だって事前予測ができるんだから、そんな確率は無いのと殆ど同じでしょう。

 確率を見れば、死ぬより生きる可能性の方が高いのは明白。なら、未来を見据えて生きる方が正しいに決まってる」

「それこそナンセンスだ。一兆分の一だって確率として存在するなら、それは「あり得ること」だろう?

 低確率を無視して高確率だけを見るなんて、愚か者のすることだ」

「そんな低確率をいちいち気にする方が臆病なだけでしょう?五分五分どころか九分一分にさえ見た無い確率なんて、考えてたらまともに生きてられないわよ」


 二人の意見は真逆であった。その論争はまさしく平行線であり、下手をすれば永遠に続く。

 そんな時、論争をたまたま側で聞いていた子供が首を傾げて二人に言った。


「訳分かんない。つまんない」


 複雑な論争など理解できない子供の言葉。しかし、それは二人に深く刺さった。

 

「……確かに、つまらないな」

「ええ……無意味ね、この喧嘩」


 大切なのが今であれ未来であれ、それを言い争う時間は人生において完全に無意味で無駄である。それを子供に教えられた二人は赤面し、黙り込んでしまったのだった。

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