人によるけどそれなりで
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――――「頑張れば何かができる」なんて、そんな都合の良い話はない。それが三十年近い人生の中で、僕が辿り着いた一つの結論だ。
努力と言うものは、基本的に無駄である。
「才能ある人間はスタートラインが初めから違う」などと良く言うがこれは希望的観測であり、正しくは「才能ある人間しかスタートラインに立つ権利がない」だ。
努力をしてスタートラインに立ったつもりになっている人間は、ゲームで言うならNPC相手に安定して勝てるようになっただけ。オンラインの対人戦なら、確実に勝ち目の無い井の中の蛙だ。
人にこの考え方を話すと、大抵の場合「努力から逃げた怠け者」として扱われる。努力をしたくないから、そんな言い訳をしているのだと。
そんなことはない――とは言わない。努力は辛いものだし、マゾでも無いのだから「わざわざそんなものを進んでしたいなどとは微塵も思わない」と言うのも事実だ。
「必死であること」を人は美徳とする。努力し、その先で手にしたものこそ真に価値があるのだと。
だが正直、僕にはその過程に意味があるとは到底思えていないのだ。
仮に「安全な街の中を歩いて三分で十万円分の宝物が手に入る道」と「危険な森の中を三時間走って百万円分の宝物が手に入る道」が目の前にあるのだとすれば、僕は迷わず前者に進む。
気楽な三分ならば、まず間違いなく十万円で気持ち的にはプラスになる。しかし苦痛な三時間は、百万円でプラスになるのだろうか?少なくとも、僕は多分「あれでたったこれだけか」と落胆してしまうと思う。
達成感でプラスになる可能性も無いでは無い。だが正直な話、それでは分の悪い賭けも良いところだ。
だから僕は、確実にプラスになる方を取る。卑屈な安定思考だが、恐らくその方が人生を気楽に生きることができるだろうと思うから。
……そんなことを考えながら、今日も僕は電車に揺られる。
さぁ、今日もほどほどに頑張るとしよう――――。




