鏡写しの境界線
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ある街に、双子の兄弟が住んでいた。
この双子は一卵性双生児で顔立ちは勿論のこと、身長体型、性格、服の好み……ありとあらゆるものがそっくりそのまま同じだった。あまりに違いがないもので、親でさえ未だ見分けることができていない。
どっちがどっちを見分けることができるのは、本人たちだけである。そんな二人はある日、良くある悪戯をしようと思い立った。
所謂、入れ替わりドッキリ。二人の立ち位置を入れ替えて、誰か気付くことができるのか?と言う話だ。
早速やってみよう、と言うことで二人は手始めに朝食の席を普段と逆に座った。けれど、両親は気付かない。
しめしめ、気付いてないぞと調子に乗った二人は入る教室をも入れ替えた。けれどやはり誰も気付かない、どころか奇妙なことに話が食い違わないのだ。
流石にちょっとおかしいぞ、と混乱する二人。そしていよいよ、アルバイト先さえも入れ替えた。
しかし、だぁれも気付かない。不思議とお互い仕事に違和感が無いし、相手の同僚と話している筈なのに全然話が続いてしまう。
何だか怖くなって来た。仕事を終えた二人は急ぎ足に家に帰って、自分の部屋に駆け込んだ。
いつも通りの自分の部屋。今回ばかりは入れ替えてない、確かに自分の部屋の筈。
けれどびっくり、驚いた。飯に呼ばれて外に出ると、出て来た部屋は普段と反対。
はてさて、いつから入れ替わっていたのやら。分かっていた筈の二人さえ、どっちがどっちか分からない。
……おや、けれど妙だな。
顔も好みも同じでも、流石に行動や会話まで全く一緒なんて有り得ない。
なら、どうして――相手が違うのに、話が食い違わなかったのだろうね?