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英雄の帰還

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 ……「彼」が消えてから、数十年の時が経った。


 世界は平和だ。それこそ、退屈と呼べるほどに。


 今から数十年前――この世界に、後に悪魔と呼ばれる怪物が侵攻を始めた。

 その能力は純粋な力だけで人間の数倍以上、更には火や水などを操ったり生き物を洗脳したりと様々な異能を持っているのだから始末に負えない。


 人類は、滅亡を受け入れるしかない。そんな諦観が世界に満ち満ちた時、不意に彼が姿を現した。

 異界からの流れ者らしい彼は悪魔に対抗するだけの強い力を持ち、その力を以て今まで誰も歯が立たなかった悪魔達を蹂躙していった。


 その勇姿は絶望していた世界中の人々の心を奮い立たせ、奮い立った者達の中からは仇討ちや正義の為に彼と旅に出る者までも現れ始めたのだ。

 そんな彼らの奮戦もあり、彼らが旅を始めてからほんの数ヶ月後。滅びかけていた世界は、悪魔を送り込んでいた邪神の死によって救われることとなった。


 しかし邪神が倒されて少しした頃――彼は、突然この世界から姿を消した。

 この世界に彼の顔を知らぬ者は居ない。しかし誰に尋ね、どこを探しても尻尾さえ掴めなかった。

 

 ……彼は確か、消える前に何か小さく呟いていた。確か――――


「もう、やること無いな」


 ――――と、言っていたか。


 彼は初めから、この世界を救いに来ていたのだろう。だから平和になり、戦うことも無くなった世界からまたどこかの世界を救いに行った――と、私は考えている。


 ……生まれついての英雄。彼は今、どこの世界を旅しているのだろう。どんな人々を救っているのだろう。

 そんなことを考えていた時、明るかった昼の空が突然夜のように暗転する。

 「あの日」と同じだ。奴らが現れた、あの日と。


 ……悪魔が降りてくる。世界を、滅ぼしに現れる。

 そして、また。あの日と変わらぬ姿の英雄は――期待感に満ちた顔で、この世界に舞い戻った。

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