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不調が見せた夢

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 目を覚ますと奇妙な程に体が重く、基本寝覚めの良い方な私はその時点で違和感を覚えた。

 体温を計ってみると、七度一分。平熱と言うにはやや高いが、微熱と呼ぶにはやや低い。

 マスクでもして仕事に行くか、とも考えたが、単純に気怠かったこともあってその日は休むことにした。


 上司に連絡を入れ、布団にごろりと寝転がる。しかし然程不調でもないのに休むことに僅かな申し訳なさがあるせいか、あまり眠気は襲って来なかった。

 ごろごろと布団の上を転がりながらスマホを開く。そうして、暫く動画を観ていたがすぐ飽きた。

 

 時計を見ると、上司に連絡を入れてからまだ一時間程度しか経っていない。それがあまりに違和感で、一日ってこんなに長かったか――と、不思議な感覚を抱いた。

 眠くはない。けれどスマホももう飽きた。どうしようか、と考えながらぼーっと天井を眺める。

 チッ、チッと言う時計の音が妙に大きい。ごぉー、と外を走る車の音が部屋に矢鱈喧しく響いて、それが何だか大きな獣の唸り声のように感じられた。


 風邪の時に一人になると不安になると良く言うが、それはもしやこの感覚なのだろうか。日常の音がいつもより大きく聞こえることが、自分の孤独を弱った心身に叩き付けてくるようなこの感覚が――――


 ――ぞわ、と背筋が冷えた。

 体調不良から来る悪寒なのか、或いは恐怖なのかも知れない。ただ、感じずにはいられなかった。

 

 ――――心細い、と。


 普段なら気にならない孤独が異様に恐ろしく思えて、室内に得体の知れない何かが満ちているような違和感に襲われる。カーテンの隙間から差す陽光が奇妙に薄暗く感じられて、明るい筈なのに新月夜の中にでもいるような錯覚を抱いてしまった。


       ◇


 ふと気付けば、意識は闇に溶けていた。

 身体は既に軽くなっていて、目覚めた時の倦怠感はすっかりと消えて失せている。

 ……けれど、汗に濡れた背中だけが。朝に感じた恐怖を想起させるようにぞくりと冷えて凍り付いていた。

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