無意味に夢を
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欲しいものがあった。
夢想し、理想し、空想して。生涯を懸けて求めたものは、結局私の手中に無い。
詰まるところ、手に入らぬものを追い続けた私の人生は全くの無意味だったと言える。私自身、今に至って振り返った人生に空虚を感じているところだ。
追い続ける人生は、まるで楽しくなかった。欲しながらも手に入れたらそれをどうする、などと言う皮算用はしていなかったし、手にした後に何をするかなどは言わずもがなだ。結果どちらも不要だったのだからそれ自体は間違っていなかったが、ほんの少し後悔もしている。
もしも、求めることを途中で諦めていたら、果たしてどうなっていたのだろうか。もう残り長くない人生ながら、どうにも強く気になってやまないのだ。
手に入らないと切り捨て、別の願いを探し、方向を転換していたら。無意味だと知って道を改めたら、その先にはどんな生き方が待っていたのか。死が迫って思考に余裕ができたからか、そんなことばかり考えてしまう。
現状答えは出ていない。しかし、見当程度は既に薄々とならついている。
答えは多分「今と同じ」だ。
もし別の道に逸れ、何かを手に入れたとしても私はきっと同じように悩むだろう。「あの時、続ける道を選んでいたらどうなっていたのか」と。同じように悩んで、結論を出せずに死んでいく。全く同じ空虚を、抱え込んだままにして。
――あぁ、なんだ。何をしても結局、人生なんて空虚なものじゃないか。
悲しいような、救われたような。そんな中途半端な結論に苦笑いをしながら、私は眠るようにゆっくりと瞼を下ろした。




