表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
194/200

果ての見えた旅路

投稿しました!

良ければ評価、感想よろしくお願いします!

 ……随分、長く歩いて来た。けれど、夜はまだ見えない。

 まだ一日も経っていない、という事実が信じられず、何度も瞬きを繰り返す。けれど一瞬視界が暗くなるだけで、空が黒くなることは無い。


 まぁ、無駄だというのは分かっていたので、目線を戻してまたゆっくりと足を前に動かし始める。

 歩けども、足が疲れることは無い。夜を目指しながらも目的の無いこの旅路は、何故か疲れて止まることも、面倒になって引き返すことも、決して許してはくれなかった。


 そんな果ての見えぬ苦痛を耐え、ここまで歩いて来られたのは、それまでに見た幾つもの光景が理由だろう。

 本当に、多くのものを目にして来た。それは同じ道の中にありながらも異世界のように様々で、けれどどれも単純なものばかりである。


 一つとして同じものが無いのに、どれも単調なぐらいシンプルなもの。それはまるで、人の在り方そのものを表しているようだった。

 十人十色。そんな言葉が持つ意味を、明確に体現しているような――独りよがりで、自分勝手で、同じ感想を抱けない光景。


 そんなものを見て来たから、今まで絶望なく歩いて来れたのだと思う。別に面白いばかりでは無い光景だったが、同じものが無い辺り退屈だけはしなかった。

 

 ……恐らくだが、この旅路は遠からず終わる。一切の確証は無いものの、なんとなくそうだと感じている。

 日が暮れて、夜が来る。そうなれば足は勝手に止まって、長い旅もあっという間にはいお終い。

 待ち侘びていた時でもあるが、それでも歩き続けた道のりを思えば――まぁ、少しだけ名残惜しく思わなくも無い。


 後どのくらい歩くのか、それは自分でも分からない。

 だが、取り敢えず進んでみよう。

 前へ、前へ、前へ――足をとにかく動かし続けて、夜を目指してみる。それはきっと苦しい道だが、歩き切れなくは無いと思う。


 少なくとも――退屈だけは、しないだろうから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ