結論
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少年は迷っていた。
彼は優柔不断である。朝食をパンにするか米にするかを決めかねて学校に遅刻したり、帰路では電車を途中下車して寄り道をするか直帰するかを考えていたら、いつの間にかどちらも通り過ぎていたことがあった。
そんな彼なので、その問いに迷うのは当然である。
何せ人生に関わる問題、即断など彼でなくても出来ないだろう。恐らくは普通の人間でも、その問いに答えを出そうとしたら十分程度はかかる筈だ。
しかし彼のその迷いは、普段のものとは些か異なる。
二者択一の決断では無く、答えなき問いへの自由返答。要するに、選択肢が提示されていない。
選ぶことにすら深く悩む彼に取って、決まった答えすら存在しないその問いはまさに天敵と言えるだろう。その証拠のように彼は、どうにかそれを選択式の問いに変更しようとしていた。
だが、その行為は的外れというものだ。
そもそも選択式に出来ない、というのもそうだが、それ以前にこの問いに対し二者択一で回答を出すような人間は他者に信用されないだろう。少なくとも、心底呆れられはする。
はいかいいえか、のるかそるか、進むか退くか。そんな言葉だけで完結する程、人生というのは甘くない。それで完結させられると思っている時点で、彼は間違っているのだ。
優柔不断なのではなく。
選ぶことに取り憑かれている。
結局、彼は選べなかった。「どちらか」という領域に、達することすら出来なかった。そしてそのまま、彼は失敗することとなる。
選ぶ必要などは無い――ただ、心に従うだけで良かったのに。
彼がそれに気付くのは、もう少しだけ先の話だ。
ある大きな分岐点で、彼はその存在にすら気付くことなく道を選ぶ。そして、後に悟るのだ。
――――ああ、たったこれだけで良かったのか、と。




