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 これは、一人の博士とその助手の会話である。


「一つ問おう。君にとって、人生とは何かな」

「人生とは……ですか」

「難しい質問ですが……敢えて言うなら「自由」でしょうか」

「ほう、それは何故」


「人生は道のようなもの、けれど一本道ではありません。

 幾度も分岐があり、その度どう進むかを決めるのは自分自身……即ち、自由だと思ったからです」

「ふむ……つまり君は、選択できることを自由と呼ぶと思っている訳だな。確かに、概ね正しいと言える。

 だが、私にはそう思えないな」


「何故です?」

「分岐する道、その内どれに進むかを選択できることを君は自由と呼んだ。けれどそれは、言い換えれば「選択しなければならない」という不自由に縛られているとも言えるのでは無いかな?」


「不自由に……縛られている?」

「そうだ。舗装されたアスファルトにしろ、或いは荒れた獣道にしろ、結局は道。「そこを通らなければならない」という常識に縛られている。

 君の理論に私の思う自由を当てるなら、それは無限に広がる荒野だ。遮るものなど何も無く、前後左右縦横無尽に歩いて行ける。故に、私にとって君のそれは、自由と呼ぶにはあまりにも不自由が過ぎるんだよ」


「それは、確かにそうですが……」

「まぁ、別に君を否定するつもりは無いよ。あくまで私が自分の思想を言って、それが君とはズレていた。

 ただ、それだけの話だ。それに私は、他者の思想を否定出来る程人生を理解していない。不足した知識で他者を否定するというのは、余程の愚者がすることだよ」


「そう……ですか。あの、ところで」

「ん、何かな」

「先生にとっての人生とは……何なのでしょうか」

「ああ、それなら簡単だ。

 私にとっての人生は「不足」、ただひたすらに足りないものだ。金にしろ、知識にしろ、欲しいものを手にするにはあまりに短く不足している。

 いっそ、不死にでもなれれば良いのだがね……いや、それも駄目か」


「何故です?不死になれば、不足は解決するのでは?」

「いや、駄目だ。それでは一つ、決定的に不足する」

「それは、一体?」

「死さ。神は本当に人を上手く作ったものだ――どうあっても、不完全になるように出来ているだなんてね」

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