三つの証言
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「一つ、ゲームをしよう」
ある日の放課後。スマホ弄りに飽きたのか、部長が不意にそんなことを言い出した。
「嫌です」
「そうか、じゃあ仕方ないね……」
〜完〜
「……じゃないんだよ。話が終わってしまうだろう」
「俺、忙しいんすよ」
「惰性でクエスト周回している人間を、人は忙しいとは呼ばないんだよ。分かったら構え。泣くぞ」
「幼稚園児の脅しですか、全く……」
呆れながらゲームを閉じ、部長の方に目を向ける。こちらが相手をする気になったことで満足したのか、その表情はご満悦と言う風だった。
「で、何するんですか」
「ああ、これから私が三つの証言をする。そして、その中の一つは嘘だ。その嘘を見抜き、私の考えていることを当てる……と言うゲームさ」
「あー、何かたまに聞くやつだ」
仕方なく、だったが――案外面白そうだ。折角なので、真面目に付き合うことにした。
「では、行くぞ」
「一、「私は君の先輩だ」」
「はい」
これは……本当だ。と言うか、他にない。
「二、「私は君のことが嫌いだ」」
「……はい?」
これは……嘘であって欲しい。そうでなくては、今後の部活がとても気まずくなってしまう。
「三……「私は君に、異性として好意を持っている」」
「…………はい!?」
今、何と?
「ふふ……さて、どれが嘘かな?」
「いや、えっ、ちょ……」
待て待て待て、何だこれは。
一は……真実だ。これは変わらない。だから嘘なのは二か三のどちらかと言うことになる。
だが――これは、どっちを選べば良いんだ?
「……ふふ」
悩んでいると、不意に部長がクスリと笑った。
「時間切れだ。ペナルティとして、答え合わせは無しということにさせて貰おう」
「なっ……えっ!?」
……その後、下校時刻まで問い詰めたが。結局、部長は本当に答えを教えてくれなかった。諦めて帰り支度を始め、ふと部長を見た――その瞬間。
――――もしかしたら、夕日のせいかも知れないが。
髪が揺れて、不意に覗いた部長の耳が。
妙に、紅潮しているように見えた――――。




