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早起きの得

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 目を覚ますと、朝の五時だった。

 動き出すには早い時間。かと言って、二度寝をしたら恐らく自分は起きられないだろうと思う。


 思案した結果、電気を点けて一冊の本を手に取った。

 眠る訳にはいかない。けれど動きたくもない。そんな二律背反から生まれた折衷案である。


 そうして手に取ったのは、数日積んでいたものだ。

 買ったは良いが暇と気力が無く、暫く放置していたもの。こういう時間が無ければ読めなかっただろうと思えば、早起きも損した気分にならない。


 その本は、所謂恋愛小説だった。

 陳腐――と言うのは言い方が悪いが、設定も世界観も何処かで見覚えのあるものでしかない。まぁ、物語の飽和した現代においてこう言った類の作品に完全な目新しさを求めるのも酷と言うものかも知れないが。


 少なくとも、つまらなくはない――面白いからこそ幾度も擦られ続けている、と言うことだろう。

 半分ほど読んで時計を見ると、丁度朝七時になった所だった。それを見て本に栞を挟み、ぱたりと閉じてゆっくりと身体を起き上がらせる。


 そうして支度を始めた――のだが、ふと脳内に一つの疑問符が浮かんだ。

 ……今、考えてみれば。あの本は、自分が普段好んで買うジャンルの本ではない。ならば、自分は何故あの本に興味を持ったのだろう――――?


 不思議に思い、コーヒーメーカーの準備だけして本の確認をしに部屋に戻った。

 改めて手に取り、裏表紙のあらすじを見る。けれど書いてあることはごく普通の恋愛小説に対するあらすじでしか無く、特別興味を惹かれる要素は無かった。


 ならば作者か――そう思ったが、作者も有名とは言えない人で自分の好きな作家でもない。

 いよいよ訳が分からなかったが――丁度コーヒーメーカーが完成を告げたので、そっちに戻ることにした。


 恐らく、ただの気紛れだろう。そう結論づけて、朝食の準備を再開する。結局、本当の理由には辿り着くこともないままで。


 ……少し、ネタバラシをすれば。この本は、行き付けの書店で馴染みの店員に勧められたものであった。

 その人物の思惑も、最後のページに挟まれた想いも――気付くのは、もう少し先の話だ。

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