不死の選択
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――――これは、仮の話だが。
もし、貴方と貴方の大切な誰か――二人だけを不死にしてやると言われたら、貴方は誰を選ぶだろうか。
不死なんて要らない、という選択肢は無い。贈与ではなく、それを強制された場合の話だ。
私の場合、恐らくは妻を選ぶだろう。私に限らず、配偶者を持つ者の多くはそれを選ぶのでは無いだろうか。
二人きりの不死。それは実質、永遠を共に過ごす相手と言うことだ。ならば、最も気を許せる相手を選ぶことは至極当然と言えるだろう。その意味で言えば、親兄弟を選ぶ者の方が多いのかも知れないが。
まぁ、五十歩百歩では無いかと私は思う。
人という生き物は、長く連れ添った相手ほど汚点が目につき易いものだ。だがそれは、過ごす内に気付く、離れていると見えないというような生まれ持った悪性に対してのものでは無い。
人は強欲だ。一つを得ると、またその上を求めたくなる生き物だ。
故に。それまで良しだと思っていた部分が悪しきに映り、不足に思えてさらに上を要求したくなるのである。恐らくそれは、相手が親兄弟であったとしても変わることは無いだろう。
だからこそ、私は妻を選ぶのだ。
遠からず諍うだろうが、初めから諍うよりかは幾分マシ。ほんの一時、永遠から見れば刹那にも近い時間であろうと「幸福に過ごせる時間」が一番長いのはこれだろう。そう思うから、私は妻を相手とした。
その想定は、基本概ね正しかった。
途中から永遠に飽き口論が増えたが、けれど家族ではこうも行かないだろうと感じるような団欒を暫く味わうことができた。
……ただ、想定外――いや、目を背けていたのは。
そうして考察している自分も、同じヒトという種族の一部だということであった。
――――ああ、悪しきが見える。不足で、不満で、不穏な闇が渦巻く形が。
そこで私は、自分の選択の間違いを知った。
――――嗚呼、一人で居たい――――




