表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/200

望郷

投稿しました!

良ければ評価、感想よろしくお願いします!

 空を見上げると、小さな光の粒が見える。

 僕の故郷も、あの中に存在するのだろうか。呆然と星を眺めながら、僕はそんなことを考えていた。


 僕はこの星のものではない。実のところ親から聞いただけの話で、僕自身にその記憶は無いのだが。

 何でも僕がまだ物心つく前のこと、旅行の為に乗っていた宙船がデブリに衝突したらしい。コントロールを失い、何とか不時着したのがこの星だったのだそうだ。


 他にも同じ宙船に乗っていたものが、何人かこの星で暮らしているのだと聞いた。原住民を装いながら救助を待ち続けているが、未だその兆しは見られないと言う。

 忘れられたか、或いは見捨てられたか。どんな理由かは分からないが、恐らく来ることは永遠に無いだろうなと何となく思った。


 僕は、その墜落したという宙船を見たことが無い。

 親に一度見てみたいと言ったが、良く分からない理屈を捏ねられて却下された。二人曰く、僕がその理屈を理解できないのはまだ子供だからなのだと言う。

 誤魔化されているのは子供ながらに理解できたが、敢えて黙っていることにした。きっと、言うべきでは無いのだろうと思ったからだ。


 僕は他の仲間を知らない。

 両親は時折会合を行なっていると言っていたが、僕はそれに同行していないのだ。

 一度連れて行って欲しいと頼んだが、それも「大人になったら」とはぐらかされた。これについても、本当に大人になったら連れて行ってくれるのかは疑問である。


 仕方なく、僕は毎夜空を見上げるようになった。

 仲間にも会えない、宙船も見られないでは両親の言葉を信じる為の確証が無い。だから何かの切っ掛けで、証拠が向こうからやって来てくれるのを待つことにしたのだ。


 一度として見たことのない故郷を想い、僕は呆然と空を見上げる。瞬間、星の一つが大きくきらりと輝いて流星となり地に落ちた。

 僕は両親の目を盗み、流星を追って走り出す。


 ――――流星の落ちたその場所で、僕は遂に目撃した。

 今の僕達と全く同じ形をした、けれど影のように黒い僕らの星の者達の姿を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ