望郷
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空を見上げると、小さな光の粒が見える。
僕の故郷も、あの中に存在するのだろうか。呆然と星を眺めながら、僕はそんなことを考えていた。
僕はこの星のものではない。実のところ親から聞いただけの話で、僕自身にその記憶は無いのだが。
何でも僕がまだ物心つく前のこと、旅行の為に乗っていた宙船がデブリに衝突したらしい。コントロールを失い、何とか不時着したのがこの星だったのだそうだ。
他にも同じ宙船に乗っていたものが、何人かこの星で暮らしているのだと聞いた。原住民を装いながら救助を待ち続けているが、未だその兆しは見られないと言う。
忘れられたか、或いは見捨てられたか。どんな理由かは分からないが、恐らく来ることは永遠に無いだろうなと何となく思った。
僕は、その墜落したという宙船を見たことが無い。
親に一度見てみたいと言ったが、良く分からない理屈を捏ねられて却下された。二人曰く、僕がその理屈を理解できないのはまだ子供だからなのだと言う。
誤魔化されているのは子供ながらに理解できたが、敢えて黙っていることにした。きっと、言うべきでは無いのだろうと思ったからだ。
僕は他の仲間を知らない。
両親は時折会合を行なっていると言っていたが、僕はそれに同行していないのだ。
一度連れて行って欲しいと頼んだが、それも「大人になったら」とはぐらかされた。これについても、本当に大人になったら連れて行ってくれるのかは疑問である。
仕方なく、僕は毎夜空を見上げるようになった。
仲間にも会えない、宙船も見られないでは両親の言葉を信じる為の確証が無い。だから何かの切っ掛けで、証拠が向こうからやって来てくれるのを待つことにしたのだ。
一度として見たことのない故郷を想い、僕は呆然と空を見上げる。瞬間、星の一つが大きくきらりと輝いて流星となり地に落ちた。
僕は両親の目を盗み、流星を追って走り出す。
――――流星の落ちたその場所で、僕は遂に目撃した。
今の僕達と全く同じ形をした、けれど影のように黒い僕らの星の者達の姿を。




