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第1章4.イライラ

「もしもし?」



考え事をしている時に鳴った電話に、思わず誰からか確認せずに出てしまった。



「わたし」



「・・・まどか。連絡はこっちからすっから、かけんなっつっただろ・・」



大学に入ってから関係をもった女で、野心があって年よりも大人びた美女なだけ

パーティーなど、『色々と』便利で、関係をそのまま続けていたらすっかり自分の事を彼女だと思っている。

俺は付き合っているつもりはないんだけど・・・。

でもまぁ、面倒だから放っておいたが、今はなんだか妙にイラついた。



「だぁって、柊全然連絡くれないじゃない。付き合って2年以上になるけど、こんなに会わないの初めてよ?」


「そうだったか?」答えながら、心の中で「付き合ってないだろ!」と反論する。


「1ヶ月よ!3年生ってそんなに忙しかったかしら?私はそうでもないけど?」


「1ヶ月も会ってなかったっけ?」


自分でもびっくりだった。別に会いたいとも、女が必要だとも思わなかった。

だから連絡もしなかったし、存在すら忘れてしまっていた。

でもまぁ・・怒らせない方がいいだろうな・・・。


これ以上彼女ヅラされるのはたまらないが、ここは機嫌をとっておこう。

最近海外の某ガイド誌で有名になったイタリアンのお店に予約を取る。

普通なら2ヶ月待ちらしいが、VIP用に大体数テーブルは空いてるものだ。

こんな待遇が大好物のまどかだ。すぐに機嫌は良くなるだろう。


2分後、予約も取れたところで、ふと林はイタリアン好きかな・・・なんて

考えていた。

まどかの存在をすっかり忘れていたのも、林が自分の前に現れてからだ。

でも、そんな事はこの時には全然思いつかなかった。


俺の中では、女は自分の話をしたがるイキモノだった。


これが好き、あれ嫌い。これ欲しい。聞いてもいないのに、自分の好みから

最近お気に入りの美容院の話。親に買って貰った時計の自慢。

挙句の果てに、自身でも会った事のない有名人の遠い親戚の話まで何でも喋る。

心の中では「オマエ・・会った事もないのに『おじさま』って」・・とツッコミを

入れつつ、「へぇ。すごいね」と微笑む。これでOK。



なのに



林は全然自分の話をしない。


まどかはイタリアンが好きだ。林は?


まどかは、俺の車の中でもポルシェを気に入ってる。林は?


まどかの好きなブランドはヴィトンだ。林は?



何も知らないな・・・あぁ。次に会えるのは水曜日か。あと3日もある。



夜、まどかと待ち合わせして店に行った。

今大評判の店に、当日予約で来れた事ですっかり機嫌が良くなっている。

でも考え事をしてて、うっかりBMWで向かった事には少し拗ねたみたいだ。

何でもいいだろ!目的地には着いたんだから!

ちょっとの事でまたイラつく。


今まで、こんな小さな事ですぐイラついたかな?


美味しいはずの食事が、なんだか味気ない。


こっそりため息をついたところで、携帯に啓介からメールが入った。


「今、りんちゃん家で飲み会。オマエ、来れる?」



はぁ!?!?林の家で!?!?



「・・ちょっとごめん。電話してくる」


席を離れて電話してみれば、なんでも那智と建人も居るらしい。

「りんちゃんの料理、めちゃめちゃうまくてさぁ!」


あぁイライラする。


俺の方は予約待ち2ヶ月のイタリアンだぞ!?こっちの方がうまい・・・はずだ。

きっと、今日味気ないのは、『たまたま』だ!



「ねぇ、何だったの?」


席に戻るとまどかの機嫌がまた少し悪くなっていた。

チッ。せっかくの努力が無駄かよ・・。


「啓介だよ」


「だから、何だったの?」


俺のプライベートだ!なんでそんなに気になる?あぁ。イライラする。



答えなかった事で、また少し機嫌が悪くなったまどかは、サークルの話をしてきた。

「短大の子が入ったんでしょ?ならあたしも入れてよ!ずるいじゃない。」



あぁ、イライラする。




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