第1章1.悪友の企み
第2と第4水曜日にはサークル活動がある。
活動っていっても、仲の良い先輩が作ったサークル「CINEMA CAFE」は
読んで字の如く。映画を見てお茶しようってお気楽なサークルだ。
立ち上げた先輩が、この大学の理事長の息子だったから、サークル棟の1番広い
部屋をGetし、ホームシアターまで導入した。
専用の部屋があるんだから毎日だって出来るんだが、毎日映画見るほど
メンバーもそんなに暇じゃない。
なのに・・・
「今年度からは水曜、毎週やる事にする」
今日は適当に選んだ映画が思った以上に面白くなくて、早めに切り上げて
部室内でコーヒーを飲んでた時だった。
「他の日にも、親睦会とかさ、合宿やろうぜ」
俺じゃない。これは部長でもある悪友、斎賀啓介の言葉だ。
サークルを立ち上げた先輩は、時々は来るが4回生になったので、後輩にこの
サークルをまかせる事にしたのだ。
最初は俺に部長の話が来たんだが、面倒だったからなんだかんだ面倒見のいいコイツを推した。
コイツが意外とマメで面倒見が良いのは先輩も知ってたから、あまり反対も
されず、コイツに決まったんだが・・・・・
だからってなんでいきなりそうなる!?
「なんだよ、突然。大体、親睦会って言っても、オマエ今年新入生いらねぇって
入れてないから、去年とメンバー変わってねーじゃん」
メンバーは、部室の鍵を預かってるコイツと、副部長の俺。
あとはコイツと同じ、幼稚舎からずっと同じクラスの腐れ縁のヤローが3人と
そいつらの彼女3人の全部で8人だ。
特に勧誘しなくても、希望者は沢山いた。が、大所帯は何かと面倒だし、結局は
気心知れたメンバーと集まれる場所が欲しかったっていうのが発足の理由だかららなぁ。
結局は全員断った。
広い部室に今年は8人。まだまだ入れるのに、新規勧誘はしない。入れないとコイツは言い張った。
ここに居る皆が、不思議そうな顔をして啓介を見てる。
何を考えてる?
悪友の顔をじーーっと見て怪しんでると、
「あぁ。大事な事を言ってなかった。短期学部にも、同じようなサークルあるんだけどさ。
基本、合同じゃん?でもウチらが短大と一緒は断ってたから、アッチ、部室無いんだよね。
だから今年から短大の子が合流する」
「はぁ!?」
同じキャンパス内に、短期学部もある。
が、知名度、偏差値ともに大学部と短期学部は大きく違う。
しかも短期学部は殆ど女だ。男は、確か2割位しかいない。
短期学部の女は、大学部の金持ちの男を狙ってる子が多い。だから合同は何かと
面倒が増えるからと、これもまた断ってきたのだ。
「言っとくけど、これはもう決定事項。部長は誰?」
「・・・・オマエ」
「啓ちゃん」
他のメンバーは、面白そうにニヤニヤしてる。
啓介の中で一体何があった!?
「おい!なんだよ。いきなり。」
小突いて小さな声で聞くと、啓介は「後でな」とニヤリと笑った。
「じゃあ、明後日親睦会すっから。来れないやつはいる?」
「明後日?金曜じゃん」
「そ。水曜の活動日以外にも、親睦会とか・・って言ったろ?」
おかしい!なんでこんなにサークル活動に積極的になる?
このサークルには、俺に引きずられて入ったようなモンなのに・・・。
「皆オッケーだな?じゃあ、いつもと同じ時間にココな。はい、解散~」
片付けをして、皆が出て行った後、ようやく啓介が口を開いた。
「向こうの部長、めっちゃタイプなんだよね♪」
オマエの恋愛ごっこに俺を巻き込むなよ!!!!!
こんな優雅な学生生活がしたかったんです。