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第1章12.小龍包

手の平にゆっくり唇を押し付けると、両手で握り締めた彼女の手が、少し、震えた。



そっと手首に指を滑らせると、ものすごい勢いで脈を打っているのがわかった。


そっと唇を離すが、離れがたくて手の平をペロリと舐める。



「・・・っ!!」



声にならない声をあげて、美羽は手を引っ込めようとしたが、そのまま引き寄せて再度

抱きしめた。



こわばった美羽の体に、拒絶、戸惑い、怯えを感じる。



「・・ごめん・・。怖がらせるつもりじゃ、なかった。」


「・・うん・・。・・びっくりした・・あの・・とりあえず離してもらいたいんだけど・・」




・・・・・・・・・・・・・それは無理。





一方通行な想いの切なさに苦しくなって、美羽の頭越しに大きく息を吐く。


「美羽にとっては、急なことかもしれないけど、俺にはそうじゃないんだ。

信じてくれる?」


「・・・・・・・・・・・」


相手の気持ちが気になるなんて、初めての事だ。

答えが知りたくて、でも答えが怖くて、なのに自分を止められなくて。


どんな方法で、自分が抱えてる想いのすべてを伝えたらいいのか・・・・。


美羽は、明らかに戸惑っている。彼女にしてみれば、俺は単なるサークル仲間で

その中でも親しくない方だった。

この距離を、一気に縮めてしまいたかったが、美羽を失いたくない。失敗すれば

彼女は本当に俺から離れてしまうかもしれない。

それが怖くて、なんとか自分に言い聞かせてそっと彼女を離した。


美羽が、すばやく後ろに下がる。


あーー、それ、結構ショックなんですけど。


美羽は顔を真っ赤にして目を潤ませ、眉間にシワを寄せて困ったような表情だった。


やばい。可愛い。

困らせてるのは俺なのに、今の美羽の様子を誰にも見せたくなくて(誰も居ないけど)

また自分の腕の中に閉じ込めてしまいたくなった。


けれど、それでは益々困らせてしまう・・。


抱きしめるのを諦める事は、自分が思ったよりも辛くてかなりの自制心が必要だった。


そんな風に、難しい顔をして欲しいわけじゃない。


後ろに下がったものの、腕を伸ばせば触れられる位置に居た美羽に手を伸ばした。


途端に、目を見開いて俺を見る。


そっと、眉間のシワに触れると、そこをなでた。


「眉間にシワ。そんな、難しい顔しないで」


「だ、だって」


「小龍包みたいだ」


「しょ、ショーロンポー!?」


「美羽の顔は、小さくて丸くて白いでしょ。眉間にシワ寄せてたら小龍包みたいだよ。」


本当、ガブリを食べたくなる。けど、そこまではまだ言わないでおいてあげる。

怖がられたら嫌だしね。



呆気にとられていた美羽は、遂に噴出して、少しその場の空気が軽くなった。


良かった。突然の再会で、想いが溢れてつい行動に出してしまったけれど、

怖がらせたいわけじゃない。

ゆっくりでもいい。いずれ俺のものになってくれるなら、いくらでも待つから。


だから俺を怖がらないで。


傍に居させて欲しい。




マシュマロは沸騰しそうに熱くなって小龍包に??


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