2.マジカファイト VS ヒロキ①
ヤマト編
今回からカードバトルが始まります。
ルール等は別の章で書いていますのでそちらを先に見て頂ければ幸いです。
じゃんけんの結果、先行ははヒロキ、後攻は僕だ。
「それじゃあ始めるよ!マジカファイト……レディーゴー!」
ジャッジ役の店長さんが試合開始の合図を出す。
まずは両者ともにそれぞれ手札を5枚引く。
「最初から全力で行くぜ、俺様のレアカードを見て驚け!マジックポイントを2ポイント消費し【ワイルドタイガー】を召喚するぜ!」
「ガアアアアアアアア!!!!」
ヒロキが手札から1枚のカードを選択し、マシンにセットした瞬間フィールドに獰猛な虎のモンスターが召喚された。
現代技術の粋とも言えるべき最新のマシンで投影された映像は、まるで本物のモンスターかの様な臨場感を持っている。
この【マジカファイト】のマシンにも魔石等のダンジョンから採取した素材が応用されているらしいが詳しいことはわからない。
【ワイルドタイガー】 レアリティ R バトルポイント 8000
いきなり強力なレアカードを出してきたな。
バトルポイント8000はなかなか強力な部類に入るモンスターだ。
「おいおい、いきなりバトルポイント8000だってさ」
「【スライムデッキ】じゃ太刀打ちできないだろう」
「もう勝負は決まった様なもんだなこりゃ」
野次馬達が好き勝手なことを言っている。
いやまだ1ターン目なのに敗北認定されてしまってるし。
「さらに装備カードを使用!【古代の魔爪】を【ワイルドタイガー】へ装備させる!」
おお、またまたRの装備カードを使用するのか、確かこのカードは魔獣タイプのモンスターに使用可能で、バトルポイントを3000増加させるんだったよな。
【ワイルドタイガー】 レアリティ R バトルポイント 8000 → 11000
「次のターンでこいつがお前に牙を剥くぜ!ターンエンドだ!」
1ターン目先攻終了時点
ヒロキ 手札 3枚 ライフポイント 5 マジックポイント 3
フィールド
【ワイルドタイガー】 レアリティ R バトルポイント 11000
ヤマト 手札 5枚 ライフポイント 5 マジックポイント 5
フィールド
モンスター無し
ヒロキがターンエンドを宣言したため、次は僕のターンだ。
デッキの山札から1枚ドローし、手札の枚数が6枚となる。
「それじゃあ僕はマジックポイントを1ポイント消費して手札から【ブルースライム】を召喚!」
【ブルースライム】 レアリティ N バトルポイント 2000
手札から1枚マシンにセットした瞬間、ぷるるんと小気味よく震えながら青色のスライムがフィールドに出現する。
「ぎゃはははは!本当にスライムを召喚してやがるぜこいつ!そんな雑魚モンスターで俺の【ワイルドタイガー】に勝てると思ってやがんのか!?」
「うるさいなぁ、勝負はこれからさ!さらに手札から【ルーンスライム】を召喚!」
同じくノーマルカードの【ルーンスライム】を召喚する。
これでマジックポイントは更に1ポイント消費され合計3ポイントとなった。
【ルーンスライム】 レアリティ N バトルポイント 2000
「また、雑魚モンスターを召喚したのかよ!?懲りねえ奴だぜ!」
「まずは、【ルーンスライム】のスキル【ルーンチャージ】を使用、マジックポイントを2ポイント回復させる」
「はん!小賢しいスキルを使うじゃねぇか!」
「まだ行くよ!【ブルースライム】のスキル【仲間を呼ぶ】を使用!山札からもう1体の【ブルースライム】を召喚する」
【仲間を呼ぶ】は同名のモンスターを山札から召喚することが出来るスキルだ。
山札から【ブルースライム】のカードを取り出しマシンにセットする。
その瞬間、2体目の【ブルースライム】がフィールドに出現した。
これで僕のフィールドには合計3体のスライムが出現する。
「まだまだ!2体目の【ブルースライム】も【仲間を呼ぶ】を使用!」
すかさず3体目の【ブルースライム】を呼び出した。
これで3体の【ブルースライム】がぷるるんと震えながら並ぶ。
「そんな雑魚を並べたところで俺の【ワイルドタイガー】には適わないぜ!」
「ここからが僕の腕の見せ所さ!」
「あん?」
「見ててよ!手札から魔法カード【スライム融合】を発動!これはマジックポイントを1ポイント消費し同名のスライム2体を合体させることが出来るのさ!」
「ふん、だけど合体したところで雑魚モンスターは雑魚モンスターだろうが!」
「【スライム融合】の効果で【ブルースライム】2体を合体、手札から【グランドスライム】を召喚!」
【グランドスライム】 レアリティ R バトルポイント 8000
フィールドから【ブルースライム】2体が消滅し、【グランドスライム】が召喚される。
普通のスライムよりも2回り程大きい翡翠の様な体色をしたスライムが出現した。
「強化前の【ワイルドタイガー】と同じバトルポイントだと?だがそれでも【古代の魔爪】の強化分こっちが勝っているぜ!」
「わかってるさ!さらに僕は装備カード【スライムキャノン】を使用!【グランドスライム】に装備させる、これはフィールドのスライムを1匹犠牲にする代わりに装備したモンスターのバトルポイントを1度だけ2倍にすることが出来る!」
【スライムキャノン】をマシンにセットした瞬間、【グランドスライム】に巨大な砲身が装着される。
「しかも【スライムキャノン】には貫通効果も付いている!これはモンスターを破壊した際に、相手プレイヤーにもそのまま攻撃出来るんだ!」
通常はフィールドのモンスターを全て破壊しなければ相手プレイヤーに攻撃出来ないが、一部のカードには例外的に相手プレイヤーを攻撃出来るカードが含まれている。
【スライムキャノン】もその類のカードの一つってわけさ。
これは僕が扱う【スライムデッキ】の中でも代表的なコンボの1つだ。
1ターン目から得意のコンボを繰り出せる辺り、今日は調子が良い様な気がする。
「フィールドの【ブルースライム】を犠牲にして【スライムキャノン】を使用!【ワイルドタイガー】へ攻撃だ!」
これで【グランドスライム】のバトルポイントは1度だけ16000になる。
【グランドスライム】に装着された【スライムキャノン】に【ブルースライム】が装填される。
【スライムキャノン】の砲身が赤く染まったかと思うと、【ブルースライム】が撃ち出され【ワイルドタイガー】を撃ち抜き破壊した。
砲弾と化した【ブルースライム】はそのままヒロキへ直撃し爆散する。
ヒロキのライフポイントはこれで5ポイントから4ポイントとなった。
投影される映像が妙にリアルなため【ブルースライム】は少し可哀そうに思えるが仕方ない。
お前の犠牲は無駄にはしないぜ。
「さらに【ルーンスライム】の攻撃!ヒロキへダイレクトアタックだ!」
【ワイルドタイガー】を破壊されたことで、相手のフィールドにはモンスターが1体もいないため、モンスターの攻撃がそのまま相手プレイヤーに通る。
【ルーンスライム】がぷるぷると震えながらヒロキに体当たりを見舞う。
ヒロキのライフポイントは更に1ポイント減少し3ポイントとなった。
「すげえ、ヤマトの奴ヒロキ相手に善戦してやがる!」
野次馬達も予想外の展開にもしかしたら?の展開を期待して盛り上がっている。
このターンに出来ることが無くなったのでターンエンドを宣言した。
1ターン目後攻終了時点
ヒロキ 手札 3枚 ライフポイント 3 マジックポイント 3
フィールド
モンスター無し
ヤマト 手札 2枚 ライフポイント 5 マジックポイント 4
フィールド
【グランドスライム】 レアリティ R バトルポイント 8000
【ルーンスライム】 レアリティ N バトルポイント 2000
「へえ……思ったよりはやるじゃねえか、だが所詮【スライムデッキ】の限界はそんな所だろう!俺の本気を見せてやるぜ!」
「あれ?さっき最初から全力で行くとか言ってなかったっけ?」
「うるせえ!1枚ドローだ!」
ヒロキはドローしたカードを確認するとすぐに獰猛な笑みを浮かべる、どうやら欲しかったカードをドロー出来た様だ。
ちなみにカードをドローした瞬間マジックポイントは2ポイント回復し、ヒロキのマジックポイントは5ポイントとなった。
「行くぜ!マジックポイントを2ポイント消費し【邪影狼】を召喚!」
「ワオオオオオオオオオオオン!!!!!!」
漆黒の狼が遠吠えを上げながらフィールドに出現する。
【邪影狼】 レアリティ R バトルポイント5000
「【邪影狼】のスキル【闇の遠吠え】を発動!このスキルの効果で山札から狼系統のノーマルモンスターを2体まで召喚出来る!」
【邪影狼】も【ブルースライム】同様、山札から同系統のモンスターを召喚出来るスキルを持っていた様だ。
「山札から【群生狼】を2体召喚だ!」
フィールドに茶色い毛並みの狼が2体出現する。
【群生狼】 レアリティ N バトルポイント 2500
「次はマジックポイントを1ポイント消費し魔法カード【トリニティハウリング】を使用!これは狼系統が3匹フィールドにいる場合にバトルポイントを3倍に出来る!」
ヒロキが魔法カードを使用した瞬間、【邪影狼】と【群生狼】が一斉に遠吠えを始める。
「【トリニティハウリング】の効果で【邪影狼】のバトルポイントは15000、【群生狼】のバトルポイントは7500となる!」
「くっ!ちょっと厳しいかもしれない!」
「ほざけぇ!まずは1体目の【群生狼】で【ルーンスライム】を攻撃だぁ!」
【群生狼】が飛び掛かり爪での攻撃を見舞うと【ルーンスライム】は一撃で破壊されてしまった。
……やられた。でもただでは終わらないぞ!
「ここで【ルーンスライム】のスキル【ルーンバースト】発動!破壊された瞬間にマジックポイントを3ポイント回復させることが出来る!」
【ルーンスライム】のスキルの効果で僕のマジックポイントが7ポイントになる。
「そんな細かい事はどうでも良いんだよぉ!【邪影狼】で【グランドスライム】を攻撃だ!」
ヒロキの宣言と共に【邪影狼】が影を纏いながら【グランドスライム】へ突進して行き牙の攻撃を見舞う。
【邪影狼】の現在のバトルポイントは15000だ。
さすがに一撃で破壊されてしまった……が僕の抵抗は終わらない。
「【グランドスライム】のスキル【スライムリバイバル】発動!バトル中に一度だけ破壊されても次のターンに復活が可能となる!」
「何だそりゃぁ!?せこいスキル使いやがって!」
「ヒロキさぁ、【スライムデッキ】の事を全く知らないんだね、ちょっと勉強不足なんじゃないの?」
僕の言葉を聞いた瞬間にヒロキの顔が引きつり始める。
「何だとこらぁ!そんな雑魚デッキの事なんざ勉強しなくてもどうとでもなるんだよぉ!残りの【群生狼】でヤマトをダイレクトアタックだ!」
【グランドスライム】は次のターンに復活が出来るとは言え、現在は破壊されてしまっているためフィールドにはモンスターは1匹もいない状態だ。
そのため【群生狼】の攻撃はそのまま僕へ向かう。
爪での一撃を受け僕のライフポイントが5ポイントから4ポイントへ減少する。
「ふん、これでターンエンドだ」
ヒロキがターンエンドを宣言する。
2ターン目先攻終了時点
ヒロキ 手札 3枚 ライフポイント 3 マジックポイント 2
フィールド
【邪影狼】 レアリティ R バトルポイント 15000
【群生狼】 レアリティ N バトルポイント 7500
【群生狼】 レアリティ N バトルポイント 7500
ヤマト 手札 2枚 ライフポイント 4 マジックポイント 7
フィールド
【グランドスライム】 レアリティ R バトルポイント 8000
2ターン目のヒロキの猛攻で盤面はかなり劣勢になってしまった。
まだライフポイントではかろうじて勝ってはいるが、このままではジリ貧だ。
このターンで少しは突破口を掴まないと厳しいかもな……
さて、どうしたもんか?
そう考えながら2ターン目の後攻、僕にとっての勝利の分水嶺となるであろう自分のターンを迎えようとしていた。
カードバトルは描いていると物凄く楽しい!
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