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27.決戦へ向けて

ヤマト編

 「うーん……それで他に言う事はあるのかい?」


 「ええと……やっぱり怒ってるのかなぁ?一応、謝ったつもりではあるんだけどねぇ……」


 「ん?何か言った?」


 「あああ、これは気が済むまでいくらでも謝らせるつもりだねぇ……」


 ファイト終了後、爽やかな笑みを浮かべながら速足で去ろうとしたジンを皆でとっ捕まえて尋問している所だ。

 元々いきなり煽り散らしながら勝負を挑んで来たのはジンの方だ。

 それが最後に自爆上等の引き分けで終わってしまう……

 その辺りに納得行かない僕やアラタ、チヒロで絶賛詰問中なのだ。


 そこに父ちゃんが苦笑いをしながら介入してきた。


 「まあまあ、ヤマトもそろそろ気が済んだんじゃないか?ジン君だったかな?君の目的は果たせたのかな?」

 「ああ、どうも。まあヤマト君の実力を一度は肌で感じたかったんで良かったですねぇ。後は色々なケースを想定して調整して行けば、アキラ様相手にもワンチャンくらいはあるんじゃなかろうかと……」


 ジンの奴、父ちゃんみたいな大人相手だと普通に話せるんじゃないか。

 確か、鳳凰寺四天王の間でも猫を被ってるとか言ってた気がするが……


 「まあ、この調子で行けば少しはアキラ様とも良い勝負が出来るんじゃないかな?あははは、それじゃあまた!」

 「って逃がすかぁ!」

 「うわぁっと!?」


 逃げようとするジンの肩を掴んで引き寄せる。


 「……勝負だ」

 「はい?」

 「もう一回勝負だぁ!あんなんで納得出来るかぁ!」

 「ひええええー!」


 僕は怒りのままにジンへ再戦を申し込み、無理やり再戦に持ち込んだのだった。



 ……結論から言うとその後、ジンと更に2回【マジカファイト】を行い、1勝1敗で終わった。

 これで最初のファイトも併せて1勝1敗1引き分けとなった。


 後の2戦も最初の1戦に負けない程の激戦となり、勝敗も本当に紙一重だった。


 ジンとのファイトで実感したのは、やはり僕のデッキは妨害系のデッキとはすこぶる相性が悪いという事だ。


 【スライム返し】というテクニックを編み出せたのは不幸中の幸いだが、やはりマジックポイントを貯めるのを邪魔されてしまうと苦戦は免れなくなってしまう。

 ジンによると鳳凰寺アキラは妨害系等のカードは小細工と断じて使用するのを嫌うらしいので、そこまで心配する必要は無いという事だが、弱点をそのままにしておくのは得策では無いだろう。


 その辺りも含めてジンとのファイトは非常に収穫の多い、良い経験となったと思う。


 全てのケースを頭に入れて更に研鑽を高めていくのみだ。


 ジンとも更なる対戦を約束し、この日は解散となった。


 鳳凰寺アキラとの代表戦まで後約3週間程あるが、やる事はまだまだ山積みだ。


 静かに闘志を燃やし、努力する事を誓った。



 ◆◆◆◆


 その頃、鳳凰寺グループのとあるビルの一室、鳳凰寺アキラがジンを除いた残りの四天王達が集合し会合を開いていた。


 「アキラ様?代表戦までもうすぐですね、調子はいかがですか?」


 四天王の1人と見られる女性が鳳凰寺アキラのご機嫌を取っている。


 「ああ、調子はとても良いよ、このまま代表戦まで調子をキープ出来ればまず負ける事は無いだろうね」

 「それは良かったですわ、この蛇蝎だかつミランもアキラ様の勝利を確信しておりますわ」


 蛇蝎ミランと名乗ったその女性は妖艶な雰囲気を漂わせながらアキラに向かって微笑んだ。


 「ふん、アキラ様に限ってこの程度の相手に不覚を取る事等、万が一にもあり得ん。心配をする時点で不敬だぞミラン……アキラ様、この鎧滝よろいだきフドウ、四天王のリーダーとして謝罪致します」

 「いやいや、謝る必要なんか無いさ、【マジカファイト】は万民に平等、誰しも勝利のチャンスを持っている、ミランが心配するのもおかしくないよ」


 鎧滝フドウと名乗った大柄な男性に対して優しく諭すアキラ、その会合は一見和やかな雰囲気で進んでいた。


 「……ところでジンの野郎はどこに行ってやがるんだ?」


 残る1人の四天王、熔崎シモンが事も無げに吐いたこの言葉をきっかけに、会場の雰囲気が急にピリッと引き締まっていく。


 「……ジンは多分、ヤマト君の所だろうね」


 アキラがあくまで穏やかな口調で笑顔で答える。

 しかし、先程までの笑顔とは微妙に雰囲気が違うのを、他の3人は敏感に感じ取っていた。


 「あ、あの裏切り者が!アキラ様、申し訳ございません!」」

 「奴が帰って来たら即座に処罰させて頂きますので……」


 フドウとミランが大慌てで取り繕う。

 その2人に向かってアキラは相も変わらず微笑みながら答える。


 「いや、処罰なんて良いよ。ジンに関しては別に忠誠心なんて求めていないからね、それにああいうのが1人位いた方が面白いじゃないか、皆もそう思わない?」

 「……アキラ様がそう仰るのであれば」


 アキラの言葉に引き下がる四天王達、絶対的強者として君臨するアキラはあくまでも王者として振舞う。


 「ジンもヤマト君と協力してもっと強くなってくれたら僕も楽しくなるんだけどなぁ」


 天井を見上げながらそう呟くアキラの表情を見て顔を引き攣らせる四天王達の額には、それぞれ汗が浮かんでいた。


 「まあ、まとめて叩き潰すんだけどね」


 鳳凰寺アキラの表情には絶対的王者としての揺るぎない自信が隅々まで表れていた。




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