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26.マジカファイト VS ジン ④

ヤマト編


VSジン、終了となります!

意外な結末を見逃すな!!!

 【スライム返し】……


 URウルトラレアモンスターである【ゴールデン・エンペラー・スライム】を魔法カード【スライム分解】の効果で分解し、レジェンダリモンスターである【レインボー・ゴッド・スライム】を召喚してしまう僕の新コンボだ。


 【ゴールデン・エンペラー・スライム】は全体攻撃付与の効果を持つ強力なスキルと類稀なるバトルポイントの高さを誇るモンスターだが、この盤面では全てを引っ繰り返せる程の効果は発揮できない。

 だからこそ、そのバトルポイントの高さを利用して逆転の可能性を秘めている【レインボー・ゴッド・スライム】を召喚したって訳だ。

 レアリティ URウルトラレアなんて【マジカ】を持っている奴なんてそうはいない。

 更にその上のレアリティ レジェンダリなんて他に見た事がない。


 だからこそ、その2つを組み合わせたコンボは下手したら世界初のコンボだ。

 対策なんて出来る訳がない。


 「【スライム返し】かぁ……良いねぇ!面白いじゃないか!」


 現に、ジンのテンションも【スライム返し】を見てから明らかに上昇している。

 僕としてもせっかく掴んだこのチャンスを最大限に活かすにはどうすれば良いか、更に頭をフル回転させる。


 【ゴールデン・エンペラー・スライム】を召喚した代償で、既に僕のライフポイントは1だ。

 可能ならばこのターンで勝利を決める、それが無理ならば次のターンで相手の攻撃を防ぎきれる様な盤面を作らなければならない。

 【レインボー・ゴッド・スライム】が呼び出せるスライム系統のモンスターのバリエーションは無数にあるからこそ、最適解を導き出すにはどうすれば良いか、必死に考える。


 「迷ってる様だね、いくらでも考えてくれて良いよ。僕が一番楽しめる最適な一手を待ってるからねぇ!」


 ジンの言葉は最早頭に入ってこなかった。

 それだけ集中していたという事だろう。

 頭の中でありとあらゆるケースを想定し、トライ&エラーを繰り返した。

 突然始まってしまったこの【マジカファイト】、思い掛けない展開ではあった物の盤面はかなり白熱した物となっている。

 このファイトを乗り切れれば、自分にも得る物は多いと思う。



 ……だからこそ。



 戸惑いや遠慮は全て金繰り捨てて全力の一手を繰り出さなければならない!


 「行くよ!僕は【レインボー・ゴッド・スライム】のスキル【神の究極召喚(ゴッドサモン)】を使用し……」


 ……自らの行動に悔いを残さない様に!



 「【ブリザード・アメジスト・スライム】を召喚する!!!」


 宣言したと同時に僕のフィールドに地面を突き抜けて巨大な氷塊が出現し、周囲に猛吹雪が吹き荒れ始める。

 氷塊の中心には青い発行体の様な物が見えている。


 次の瞬間、氷塊が粉々に砕け散り青い発行体が更に激しい光を放ち始めた。

 光が収まるとそこには青白く輝き続けるスライムの姿があった。


 【ブリザード・アメジスト・スライム】 

 レアリティ URウルトラレア バトルポイント 16000


 「へえ、新たなURウルトラレアモンスターかい?面白いじゃないか!」


 そこにあるのは、白熱しきった盤面を感じさせない程に楽しそうな表情を見せるジンの姿だった。

 その表情を見ているとこちらも思わず口元が緩んでしまう。


 「楽しそうじゃないか、ジン!」

 「ああ、凄く楽しいよ!やっぱり僕の目に狂いは無かったねぇ!」


 間違いなく勝敗を左右するであろうこのターン、緊迫感に溢れながらも満足気に笑い続ける強敵のテンションにこちらも同様のテンションをぶつける。


 「さあ行くぞぉ!【ブリザード・アメジスト・スライム】のスキル【蒼晶の氷獄(アメジストフリーズ)】を使用する!」


 フィールドに凄まじい吹雪が舞い踊り始める。

 

 「このスキルの効果は、現在効果が出現している敵のスキルを全て無効化する!」

 「へえ?それは少し厳しくなるね」


 フィールドに吹き荒れる吹雪が【忍法 吸精花】と【忍法 土遁壁】を凍結させてしまった。

 これで厄介な効果を持つ2つのスキルを無効化する事が出来た。


 「そして、【蒼晶の氷獄(アメジストフリーズ)】にはもう1つ効果がある。このスキルを使用したターンに【ブリザード・アメジスト・スライム】で敵モンスターを破壊した場合にその場にいたモンスターの次のターンの行動を不可能にする!」

 「な、何ぃ!?」

 「おおっと、さすがに焦り始めたな!」


 ここに来て初めて狼狽えた様子を見せたジン、僕の行動がジンの予測を超え始めた証拠だろう。


 「まずは【ブリザード・アメジスト・スライム】で【花の魔忍 死羅百合】へ攻撃だ!」


 【ブリザード・アメジスト・スライム】が吹雪を収束させ巨大な氷塊をいくつも作り出す。

 そのまま勢いよく敵へ向かって放出され、【花の魔忍 死羅百合】は氷塊に潰されて消滅してしまった。


 「【蒼晶の氷獄(アメジストフリーズ)】の追加効果発動!現在敵フィールドにいるモンスターの次のターンの行動を封じる!」


 【花の魔忍 死羅百合】が消滅すると同時にフィールド中が凍結される。

 当然、【地獄蝦蟇】と【黒蜜蝶】も凍結を免れない。

 2体同時に氷の中に封じられてしまった。


 「次は、【レインボー・ゴッド・スライム】で【黒蜜蝶】を攻撃だ!」


 【レインボー・ゴッド・スライム】の虹色の閃光が凍結している【黒蜜蝶】を貫き粉々に粉砕してしまった。

 これでジンのフィールドには【地獄蝦蟇】のみとなった。


 しかし、僕のフィールドには【ルーンスライム】のみ、【地獄蝦蟇】を破壊するにはバトルポイントが足りない。


 「最後に【ルーンスライム】の【ルーンチャージ】を使用してターンエンドだ!」


 マジックポイントを2ポイント回復してターン終了を宣言する。

 さすがにこのターンで倒しきる事は出来なかったが、やれる事はやったと思う。


 2ターン目後攻終了時点


 ジン

 手札 0枚 ライフポイント 3 マジックポイント 4


 フィールド 【地獄蝦蟇】 

       レアリティ Nノーマル バトルポイント 3000

       

 ヤマト 

 手札 1枚 ライフポイント 1 マジックポイント 3


 フィールド  【レインボー・ゴッド・スライム】 

        レアリティ レジェンダリ バトルポイント 20000

       

        【ブリザード・アメジスト・スライム】

        レアリティ URウルトラレア バトルポイント 16000


        【ルーンスライム】 

        レアリティ ノーマル バトルポイント 2000


 完全に盤面は逆転している。

 こちらの2体の強力なモンスターを倒せる戦力はジンの方には無く、新たに召喚するにも手札も0枚だ。

 ライフポイントが1ポイントしか無い事には一抹の不安を覚えるが、普通に考えればここから逆転するなんてそれこそ不可能に近いだろう。


 「はあ、一気に形勢を逆転されちゃったなぁ、やっぱり君のデッキは楽しいねぇ。さてどうしたもんかなぁ?」


 ジンが心なしか気が抜けた様な表情を見せている。

 さっきまで僕の攻撃を受けている時はあれだけ楽しそうだったのに、今はどちらかと言うと感情が読みづらい感じを受ける。


 ……ひょっとしてあきらめたのかな?

 まさか、あれだけ僕を煽って来たジンに限ってそんな事は無いだろう。


 「さてと、どちらにせよ、このドローで全てが決まっちゃうね」


 3ターン目先攻、ジンのターン、泣いても笑ってもこのターンで決着が着くに違いない。


 「行こうか!僕のターン、1枚ドローだ!」


 頼むぞ、このドローで良い手札を引かれなければ勝利は間違いない! 

 そう念じながら山札からカードをドローするジンの手元に視線を送る。


 「……これは!?あらら、こんな事になっちゃうんだねぇ……」


 ジンは、山札からドローしたカードを眺めながら深いため息をついた。


 「どうしたんだい?欲しいカードは来なかったのかな?」

 「いや……そんな事は無いんだけどねぇ。これはちょっとヤマト君に謝らなければいけないかもなぁ……」

 「謝る?一体どういう事だい?」


 突然意味のわからない事を口走り始めるジンに真意を問う。


 「ここまで白熱したファイトがこんな結末になっちゃうなんてねぇ、ヤマト君はもちろんギャラリーの皆さんにも申し訳無い。でもこのまま指を咥えて負けを認めるのもちょっと嫌なんでねぇ、先に謝っておくよ、この通り、申し訳ない!」

 「えええ?ま、まさか!?」


 何やらとてつもなく不吉な事を口走り始めたジンの言葉の意味は分からないが、このファイトの結末が碌でも無い事になりそうな事だけは薄っすらと理解出来た様な気がする。

 そんな心配を余所にジンが自らのターンを進め始める。


 「謝罪も済ませたしこのファイトを終わらせようか!僕はマジックポイントを1ポイント消費して手札から魔法カード【滅殺爆雷弾】を使用するよ!」


 ジンが手札から魔法カードをマシンにセットする。


 「あ、あのカードは!?」

 「そんな!?実在していたのか!?」

 「あんなカードをデッキに組み込んでいるなんて……」


 「ウィザード」店内のギャラリー達が一気にざわつき始める。

 店長や田中さんも青ざめながら絶句している。


 「……一体そのカードは何なんだ!?」

 「うん、いやぁまぁ……言いにくいんだけどねぇ。このカードは自らのライフポイントを3ポイント消費して相手のライフポイントを1ポイント奪う効果を持っているんだ、まあ言うなれば自爆カードだね」

 「……はい?……という事は……?」


 今のライフポイントは僕が1ポイント、ジンが3ポイントだった。

 ……という事は。


 「お互いのライフポイントが同時に0ポイントになっちゃうから引き分けだねぇ!」

  

 ジンが笑顔でそう述べた瞬間、2人の間に巨大な髑髏マークが描かれた爆弾が出現し大爆発を起こした。


 僕とジンは爆発に巻き込まれ、ライフポイントが0ポイントとなる。

 予想外の幕引きに店内がより一層ざわつき始める。


 「何じゃあそりゃぁ!?ここまで引っ張っておいてそんな終わり方有りかよぉ!?」

 「卑怯だぞ!それでも鳳凰寺四天王かよ!」


 アラタを始めとするギャラリー達が罵詈雑言をジンにぶつける。


 「あはは、だから最初に謝ったんだよね、負けるくらいなら引き分けで良しとしようかなって、まあこれも【マジカファイト】の一面っていう事で」


 あくまで飄々と乗り切るジン、僕は意外過ぎるファイトの結末に呆気にとられる以外になかった。


 「……まあ、仕方がない!両者同時にライフポイントが0ポイントとなったので、このファイトは……引き分け!」


 気を取り直した店長がファイトの終了を宣言する。


 僕と鳳凰寺四天王、風切ジンの【マジカファイト】はとてつもなく意外な結末を迎えながら終了となった。


この結末は以前から描いてみたいなぁと思ってました。

……苦情などあれば……すいません!!!!


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