23.マジカファイト VS ジン①
ヤマト編
第二章はカードバトルが続きますよ!
突然現れた鳳凰寺四天王の1人、風切ジンと模擬の【マジカファイト】をする事になってしまった。
普通に考えれば怪しさ満開なのだが、鳳凰寺アキラとの対決に向けての試金石となる事は間違いない。
「さあ、こっちは準備完了だよ、いやぁ楽しみだなぁ」
相変わらず怪しげな笑みを絶やさないジンの姿に少し苛立ちを覚えながらもファイトの準備を整える。
「こっちも準備完了だよ」
もうこうなったら全力でぶつかるのみ、あくまでこの【マジカファイト】の位置付けは鳳凰寺アキラ戦のための模擬ファイトだが、こうなったら完勝を目指してやる。
「それでは【マジカファイト】、レディーゴー!!!!」
ジャッジ役の店長の掛け声でファイトが始まる。
今回先攻はジン、後攻は僕だ。
「さあ、行くよ。まずは僕のターン、マジックポイントを1ポイント消費して手札から【地獄蝦蟇】を召喚!」
ジンがデッキにカードをセットすると、見るからに毒を持っていそうな体色の人間大の蝦蟇蛙が出現する。
【地獄蝦蟇】 レアリティ N バトルポイント 3000
「もういっちょ行くよ、更にマジックポイントを1ポイント消費して手札から【黒蜜蝶】を召喚する」
更にもう1体、黒と緑が入り混じった様な模様の羽根を広げた蝶々タイプのモンスターが出現した。
【黒蜜蝶】 レアリティ N バトルポイント 2500
「さてと次は……と、マジックポイントを1ポイント消費して魔法カード【闇の帷】を発動、この魔法カードの効果によって、次のターンの開始時にフィールドにモンスターがいる場合、1体につきマジックポイントを2ポイント回復する事が出来るのさ」
……マジックポイント回復系のカードか。
自分のデッキにはたくさん入っているが、相手に使われるとやっぱりきついな。
「そしてこれだね、【黒蜜蝶】のスキル【邪なる甘露】を使用、このスキルの効果でマジックポイントを2ポイント回復するよ」
「マジックポイント回復スキルか!」
僕の【新生スライムデッキ】に無くてはならないカードの1つである【ルーンスライム】と同系統のカードか。
【黒蜜蝶】の羽根から抹茶の様な色の雫がジンに降り注ぐ。
これでジンのマジックポイントは4ポイントに回復してしまった。
しかも、このまま放置しておけば【闇の帷】の効果で次のターンの開始時にどんどんマジックポイントを回復されてしまうため、自分のターンでしっかりと対処しなければならない。
「さあて、まだまだ終わらないよー。マジックポイントを1ポイント消費して魔法カード【魂封じの巻物】を使用、この魔法カードの効果は自らのライフポイントを1ポイント消費する代わりに山札から4枚カードをドロー出来る」
「……ここで手札補充のカードまで出してくるのか!?」
ジンが魔法カードの使用を宣言するとフィールドに禍々しいオーラを放つ巻物が出現し、その巻物がジンから何かを吸い取ってしまう。
ジンのライフポイントが1ポイント減少し4ポイントとなると同時に手札が新たに4枚補充されてしまう。
新たに補充された手札を見てジンがニヤリと口角を上げる。
さてはまた良いカードをドローしたな……
「マジックポイントを1ポイント消費して手札から【無限蛞蝓】を召喚するね」
フィールドに紫色の体色をした体長1メートル程のナメクジが出現した。
もしやと思ってチヒロの方を見ると案の定その場にへたり込んでいた。
【無限蛞蝓】 レアリティ N バトルポイント 2000
「どう?このモンスター可愛いでしょ?ちなみにこんな便利なスキルもあるんだよね、【無限蛞蝓】のスキル、【無限増殖】を使用、このスキルは山札から【無限蛞蝓】を好きなだけ召喚出来る」
このモンスターも【新生スライムデッキ】でいう所の【ブルースライム】と同じ働きが出来るのか!?
「【無限増殖】の効果で山札から【無限蛞蝓】を2体召喚するね」
ジンの宣言によりフィールドに3体の【無限蛞蝓】が並んでしまった。
もう恐ろしくてチヒロの方に視線を向けられないや……
「まだまだ行くよ!【地獄蝦蟇】のスキル【地獄の捕食】を使用!このスキルはフィールドのNモンスター1体を破壊する代わりにマジックポイントを2ポイント回復出来る。今回は【無限蛞蝓】1体を破壊するよ」
ジンの宣言と共に【地獄蝦蟇】が舌を伸ばし【無限蛞蝓】を絡めとったかと思うとそのまま丸飲みしてしまった。
これでジンのマジックポイントは5ポイントとなる。
「さあて、本命の召喚だよ。マジックポイントを4ポイント消費、【無限蛞蝓】を2体生贄にして、手札から【霧の魔忍 夢幻】を召喚する!」
ジンがカードをマシンにセットすると、フィールドの【無限蛞蝓】が2体共消滅すると共に、フィールドに黒装束を纏った忍者が出現した。
忍者の全身から瘴気の様な物を常に放出している。
【霧の魔忍 夢幻】 レアリティ SR バトルポイント 8000
……やられた!
まさか1ターン目からSRのモンスターをフィールドに出してくるなんて!
自分でも言っていたけど、ジンの【忍者デッキ】は性能が万能過ぎる。
恐らくありとあらゆる事態を想定してカードを組み合わせてあるんだろう。
同じ四天王でもシモンの【分解デッキ】とは大違いだ。
「これで最後だね、【霧の魔忍 夢幻】のスキル【忍法 幻霧結界】を使用!このスキルは相手のターンにマジックポイントの回復数を半減させる事が出来る!」
「何だって!?さすがにそれは反則だろう!」
そんな事をされてしまったら僕の【新生スライムデッキ】にとっては致命的だ。
まさか1ターン目でそんな手を打ってくるなんて。
「ちなみにこのスキルの効果はドロー時にも影響するからね。本来2ポイント回復なら1ポイント、4ポイント回復なら2ポイントになっちゃうって感じかな。あっ、1ポイント回復の場合は1ポイントのままだからねー、よしそれじゃあターンエンド!」
ジンは相変わらず笑みを浮かべたまま自分のターンの終了を宣言する。
……これは本当にまずいな。
相手の盤面が盤石すぎる。
ライフポイントこそ魔法カード【魂封じの巻物】の効果で1ポイント減少してはいるが、フィールドにはモンスターが3体、その内の1体のレアリティはSRだ。
「さあ、お手並拝見といこうか」
そう述べたジンの顔にはファイト開始前と同様に獰猛な肉食獣の様な笑みが浮かんでいた。
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