20.マジカファイト VS 田中係長①
ヤマト編
鳳凰時アキラとの代表戦に向けて、新しく組み直したデッキを試すために用意された対戦相手。
父ちゃんの会社の田中さんは妙にハイテンションで対戦を心待ちにしている様だった。
「いやぁ、久しぶりだからね、張り切っちゃおうかな!」
笑顔で張り切る田中さん、多分父ちゃんとそんなに年齢は変わらないだろうに。
とりあえず、じゃんけんをして先攻か後攻かを決める。
じゃんけんの結果、田中さんが先攻、僕が後攻になった。
お互い準備を配置につき準備を完了する。
今回もジャッジ役は店長が務める。
「それではマジカファイト、レディーゴー!!!!」
店長の号令で【マジカファイト】が開始となる。
まずは1ターン目先攻、田中さんの番だ。
「よし、それじゃあ僕の番だね。マジックポイントを1ポイント消費して手札から【ワーウルフソードマン】を召喚する!」
「ワオオオオオン!!!」
カードをマシンにセットするとフィールドに顔だけ狼の剣士が出現する。
まさに獣人といった感じの様相だ。
【ワーウルフソードマン】 レアリティ N バトルポイント 3000
「更にもう1体、マジックポイントを1ポイント消費して手札から【コボルトハンター】を召喚だ!」
「グルルルルル!!!」
次に現れたのは、弓を持った犬の顔をした獣人だ。
やっぱり田中さんのデッキは獣人だらけなのかな?
【コボルトハンター】 レアリティ N バトルポイント 3000
「ここで【コボルトハンター】のスキル【犬人の遠吠え】を使用!このスキルは山札から【コボルト】と名の付くレアリティ Nのモンスターを2体召喚出来る!」
「それはちょっと厄介だなぁ」
僕の【ブルースライム】と同じ様なスキルを持つモンスターなのか。
【獣人デッキ】なんてデッキとは初めて対戦するが、どんな戦法を取って来るのかしっかり見極める必要があるな。
「スキルの効果で山札から【コボルトソードマン】と【コボルトガードナー】を召喚する!」
「アオオオオオオオン!!!」
田中さんの宣言と共に【コボルトハンター】が声高らかに遠吠えをあげる。
すると、フィールドに2体の獣人が出現した。
それぞれ剣と大きな盾を持つ犬の獣人だ。
【コボルトソードマン】 レアリティ N バトルポイント 3000
【コボルトガードナー】 レアリティ N バトルポイント 3000
「続いてマジックポイントを1ポイント消費して魔法カード【獣人の儀式】を使用する!この魔法カードはフィールドに獣人タイプのモンスターが4体いる時のみ使用可能、その効果は自分のフィールドにいるモンスターのバトルポイントをそれぞれ4倍に引き上げる事が出来る!」
「よ、4倍だって!?さすがにそれはずるいよ!」
「あはは、これが【獣人デッキ】の恐ろしさだよ!」
田中さんがマシンにカードをセットすると、4体の獣人達が怪しげな踊り?様な動きを始めた。
獣人達が光に包まれ、それぞれがパワーアップする。
「よし、最後に【コボルトガードナー】のスキル、【シールドガード】を使用!相手の攻撃を1度だけ無効化する事が出来る!」
田中さんの宣言と共に【コボルトガードナー】が大盾を前に構える。
これも僕の【ガードスライム】と同じ様なスキルか。
攻撃回数を1度だけ無駄にされてしまう地味に嫌なスキルだ。
「これでターンエンドだよ」
田中さんが自らのターン終了を宣言する。
自らの陣営を充実させ、最後に防御スキルの使用まで実行できた。
1ターン目先攻としては万全の状態でターンを終了出来たのだろう。
どこか満足気な田中さんの表情がそれを物語っている。
1ターン目先攻終了時点
田中係長 手札 2枚 ライフポイント 5 マジックポイント 2
フィールド
【ワーウルフソードマン】 レアリティ N バトルポイント 12000
【コボルトハンター】 レアリティ N バトルポイント 12000
【コボルトソードマン】 レアリティ N バトルポイント 12000
【コボルトガードナー】 レアリティ N バトルポイント 12000
ヤマト 手札 5枚 ライフポイント 5 マジックポイント 5
フィールド
モンスター無し
やっとこちらにターンが回って来た。
「よし……行くよ田中さん!」
気合を入れながらカードを1枚ドローする。
この瞬間、マジックポイントが7ポイントになる。
たった今引いたカードを加えた合計6枚の手札を確認する。
……よし、行けるぞ。
実は今回の模擬ファイトに関しては、とある作戦を軸にデッキを組み立ててある。
鳳凰寺アキラとの対戦を睨んだ時に鍵となるのが【レインボー・ゴッド・スライム】をいかにフィールドに出すのかだ。
必要マジックポイントが16という数値をどうやって満たすかを意識して戦わなければならない。
シモンの【分解デッキ】と戦った時は、モンスターを破壊しマジックポイントに還元してしまうという荒業に最初は戸惑ったが、結果的にはマジックポイントを補う事が出来たため、【レインボー・ゴッド・スライム】の召喚からの大逆転に繋げる事が出来た。
アラタ達と作戦を考えた時に、じゃあその状況を有効利用出来る様なデッキを組めれば勝率があがるんじゃね?と誰かが言い出し、確かにその通りだ!と作戦に組み込む事になった。
そして、そのデッキに必要となるカードを考え出し、手元に無いカードは父ちゃんにお願いして、【花菱商事】の経費で買ってもらった。
少しだけ申し訳ない気分にはなったが、事情が事情だし父ちゃんも任せろ!って言ってすぐに動いてくれた。
その作戦を軸に更に再調整を行って完成したデッキが今回の【新生スライムデッキ】だ。
コンセプトを一言で言うならば「ワンターンキルの実現」だ。
今回練習相手として来てくれた田中さんには申し訳ないけど……
そのための盤面は既に整っている。
……つまり、ワンターンで倒して見せる。
「行くよ。僕はまずマジックポイントを2ポイント消費して手札から【スライムマンサー】を召喚する!」
「へえ、【水晶の洞窟】のボスモンスターだね。いきなりレアモンスターを召喚するなんて気合が入ってるね」
田中さんが余裕の笑みを浮かべている。
もう少ししたらその笑顔もどうなっちゃうかわからないんだけどね。
「続いて【スライムマンサー】のスキル【眷属召喚】を使用!このスキルで山札から召喚するのは【ブルースライム】と【ルーンスライム】だ!」
【スライムマンサー】が魔法陣を発動し、【ブルースライム】と【ルーンスライム】が出現する。
「次はマジックポイントを1ポイント消費して手札から魔法カード【生贄の祭壇】を発動する!」
これは今回新たに追加したレアカードだ。
カードをマシンにセットすると、フィールドに巨大な禍々しい祭壇が出現する。
祭壇の中央には赤黒い光を放つ魔法陣がある。
「この祭壇に捧げられたモンスターは破壊されマジックポイントに変換される。モンスター1体につきマジックポイントを2ポイント回復する事が出来るんだ!」
「な、何だって!?」
「行くよ!【ブルースライム】のスキル【仲間を呼ぶ】を使用する!」
スキルの使用により山札から2体目の【ブルースライム】が召喚される。
「次は1体目の【ブルースライム】を【生贄の祭壇】に捧げる!」
【ブルースライム】が祭壇の中央の魔法陣へ移動すると、赤黒い光が【ブルースライム】を包み込む。
すぐに【ブルースライム】が消滅してしまった。
マジックポイントが2ポイント回復し6ポイントとなる。
「2体目の【ブルースライム】の【仲間を呼ぶ】を使用!山札から3体目の【ブルースライム】を召喚する!」
「ま、まさか!?」
「そのまさかだよ!2体目の【ブルースライム】を【生贄の祭壇】へ捧げる!」
これでマジックポイントが8ポイントとなる。
「このコンボは……」
「まだまだ行くよ!3体目の【ブルースライム】の【仲間を呼ぶ】で4体目の【ブルースライム】を召喚する!」
デッキ内で同じカードは4枚まで、これで僕のデッキ内の【ブルースライム】は打ち止めだ。
「3体目と4体目の【ブルースライム】を【生贄の祭壇】へ!」
2体の【ブルースライム】がマジックポイントへ変換され、僕のマジックポイントは12ポイントとなる。
「次は【ルーンスライム】だ!スキル【ルーンチャージ】を使用!」
これでマジックポイントが14ポイントとなる。
「そして【ルーンスライム】を【生贄の祭壇】へ捧げる!」
「いつまで続くんだい!?」
【ルーンスライム】が祭壇へ移動し消滅する。
マジックポイントが16ポイントとなると同時に【ルーンスライム】の破壊判定と共にあのスキルが発動する。
「【ルーンスライム】が破壊されたのでスキル【ルーンバースト】を発動する!」
更にマジックポイントが追加され、合計20ポイントとなる。
次は手札の調整だ。
「マジックポイントを1ポイント消費して手札から魔法カード【魔札の宝珠】を使用する!」
これも新たにデッキに加えたカードだ。
「このカードは、フィールドにいるモンスター1体を破壊する代わりに山札からカードをドロー出来る。しかもその枚数はモンスターのレアリティによって変化する!」
【魔札の宝珠】の効果でドロー可能な枚数は破壊されるモンスターのレアリティが高い程多くなる。
ちなみにレアリティ Nなら2枚、Rなら4枚という風に増えて行くシステムだ。
「僕は【スライムマンサー】を選択する!【スライムマンサー】のレアリティはR、つまり山札から4枚ドロー出来る!」
【魔札の宝珠】が光を放つと【スライムマンサー】が破壊される。
その効果で山札から新たにカードを4枚ドローする。
手札に加えた4枚のカードと合わせて現在の手札は7枚となる。
……これで準備は万全だ。
行くぞ、ワンターンキル!
「マジックポイントを16ポイント使用し手札から【レインボー・ゴッド・スライム】を召喚する」
僕は切り札の召喚を宣言した。
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