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19.意外な対戦相手

ヤマト編

 次の日、放課後に「ウィザード」へ向かった。

 鳳凰寺アキラとのバトルを念頭にデッキを調整するためだ。

 もちろん、アラタとチヒロも一緒だ。

 対抗戦の事は2人には学校の始業前に伝えた。

 2人共驚いていたが、すぐに面白そうだと盛り上がり始め、3人協力体制で鳳凰寺アキラに挑むと決めた。


 店に到着後、すぐにテーブルにカードを広げてアラタ達と作戦を練り始めた。

 3人でああでもないこうでもないと話し込んでいると、店長が近付いて来た。


 「ええ!?あの鳳凰寺アキラと【マジカファイト】をするのかい!?」


 店長に事情を話すとさすがに驚いている。


 「なるほどなぁ……あの鳳凰寺アキラとヤマト君が勝負とはなぁ」

 「店長から見てどう?僕に勝ち目はあるかな?」

 「勝ち目かい?……うーん」


 店長は首を捻りながら黙り込んでしまった。


 「正直に言ってもらって大丈夫だよ。率直な意見が聞きたいんだけど」

 「そうか、そう言うなら……僕の見立てでは、はっきり言って勝ち目はほとんど無いだろうねぇ」

 「ええ~、薄々そう思ってそうだなぁと感じていたけどはっきり言われるとやっぱりショックだな」

 「あはは、ごめんごめん、まあヤマト君だけじゃなくて、鳳凰寺アキラに勝てるファイターなんて本当に少数だと思うけどね」


 店長が申し訳無さそうに説明している。

 やっぱり鳳凰寺アキラってそんなに強いのか……

 これはちょっとやばいかもしれないな。


 「鳳凰寺アキラってそんなに強いの?」

 「知らないのかい?彼は並の強さじゃない。言ってみれば化け物だね」

 「化け物!?一体どんなデッキを使ってくるのかな?」

 「鳳凰寺アキラの【聖獣デッキ】と言えばかなり有名だよ、あのデッキは強い、とてつもない強さだね」


 鳳凰寺アキラのデッキは【聖獣デッキ】か。

 ヒロキの【魔獣デッキ】と名前は似ているけど、そんなに差があるのかな?


 「【聖獣デッキ】は鳳凰寺グループが所有しているダンジョン中から集められた選りすぐりのモンスターを集めて組み上げられた最強のデッキさ、鳳凰寺グループが所有しているダンジョンは軽く100を超えているはずだ。そのダンジョンから選ばれた強力なモンスターで構成されているんだ、並大抵のデッキじゃないよ」


 ひ、100を超えるダンジョンだって!?

 そんなの反則じゃないか!


 「それに魔法カードや装備カードも鳳凰寺グループの財力を尽くして世界中から集めている。関東大会を余裕で優勝するのは伊達じゃないって事さ」

 「そ、それじゃあやっぱり今度の勝負は無謀だったのかな……」


 店長がもたらした情報に絶望的な気分になってきた。

 最初から無謀な挑戦だったのか。

 父ちゃん凹むだろうな……


 「あっ、でも……」

 「どうしたの店長?」

 「1つ思うんだけどさ、さすがの鳳凰寺アキラの【聖獣デッキ】でもヤマト君の【レインボーゴッドスライム】みたいなレアリティ レジェンダリのカードは持っていないと思うんだ。だからそこが唯一の突破口になり得るのかもしれないね」


 ……なるほど、確かにそうだ。

 【レインボーゴッドスライム】の様なチートすれすれのカードはさすがの鳳凰寺アキラでも持っていないはずだ。


 「ということは……」

 「ヤマト!とにかく色々と試して行こうぜ!」

 「必要なカードがあったら会社が買ってくれるんでしょ?」


 ……よし、どうぜ僕のデッキは【レインボーゴッドスライム】頼みなのは間違いないんだ。

 だったら更に開き直って【レインボーゴッドスライム】の1点突破集中デッキみたいなのを考えてやろう。


 頭の中で方針が固まり、気分的にも開き直る事が出来た。

 

 アラタとチヒロも協力してくれる。

 暫く「ウィザード」に通い詰めて最適なデッキを組み直してやる!


 「アラタ、チヒロ、とことんやろう!」

 「おう!」

 「うん!」


 こうして、僕たちは【スライムデッキ】の再構築に没頭する事になる。


 ◆◆◆◆


 そして翌週の日曜日……


 「ウィザード」では模擬の【マジカファイト】が始まろうとしていた。


 対戦するのは僕と……


 「石動君の息子さんには悪いけど手加減はしないからね!」


 父ちゃんの会社の田中係長って人だ。

 その後ろで父ちゃんが苦笑いを浮かべながら見守っている。

 店内にはアラタやチヒロ、店長もファイトを見守っている。


 実は、あれから必死で考えたデッキを試してみたくなり、父ちゃんに対戦相手を相談したんだけど、「良い相手がいる」って言われて連れてきたのがこの田中さんだった。


 まあ、お互い手の内を知り尽くしているアラタやチヒロよりは練習台になるとは思うけどね。


 「さあさあ、僕の【獣人デッキ】に勝てるかな?最近仕事が忙しくて全然【マジカファイト】が出来なかったらね、今日は存分に楽しませてもらうよ!」

 「え、ええ、よろしくお願いします」


 この父ちゃんの職場の田中さんて人、物凄くハイテンションだな。

 よっぽど【マジカファイト】が出来るのが嬉しいのか。


 ……とにかく試行錯誤して新たに組み上げた【新生スライムデッキ】を試すチャンスだ。


 父ちゃんの職場の同僚だろうが、遠慮なく全力でぶつかってやる!


 こうして、代表戦に向けての練習となる【マジカファイト】が始まるのだった。

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