14.マジカファイト VS シモン ①
ヤマト編
……突然出現した熔崎 シモンと【マジカファイト】で対戦する事になってしまった。
シモンとじゃんけんをした結果、先行は僕という事になった。
「ウィザード」の【マジカファイト】のバトルスペースにてお互い準備を行う。
「ヤマト、相手は【分解デッキ】とか言ってたな。聞いた事が無いけど気を付けろよ」
アラタが声を掛けてきた。
確かにさっきシモンは自分のデッキを【分解デッキ】と呼んでいた。
僕も初めて聞くデッキの分類だな。
分解か……一体何を分解するのか?
注意してファイトに挑む必要があるだろう。
お互いの準備が終わり、【マジカファイト】開始の合図を待つ。
「それでは2人共準備は良いかい?……マジカファイト、レディーゴー!!!!!」
店長の号令で【マジカファイト】が始まった。
僕の手札は5枚、まずはこのカードから召喚する。
「マジックポイントを1ポイント使用し【ブルースライム】を召喚!」
初手は基本の【ブルースライム】から召喚する。
「そして【ブルースライム】のスキル【仲間を呼ぶ】を使用!山札から2体目の【ブルースライム】を召喚する!」
「……はん、どうせもう1、2体【ブルースライム】を呼び出すんだろ?」
……読まれてるのは癪だけど、定石通りにもう1体の【ブルースライム】を召喚する。
最初のターンで【ブルースライム】を呼べるだけ呼んで弾幕として使用するのは【スライムデッキ】の定石中の定石だ。
「お望み通り召喚したばかりの【ブルースライム】のスキル【仲間を呼ぶ】を使用、山札から3体目の【ブルースライム】を召喚する」
これでフィールドには3体の【ブルースライム】が並んでいる。
「更にマジックポイントを1ポイント使用して手札から【ルーンスライム】を召喚する!」
手札から【ルーンスライム】のカードをマシンにセットし、フィールドに【ルーンスライム】を出現させる。
「そして【ルーンスライム】のスキル【ルーンチャージ】を使用、マジックポイントを2ポイント回復させる!」
これで僕のマジックポイントは5ポイントとなる。
手札は3枚、1ターン目は攻撃を選択することが出来ないので後は僕に出来ることと言ったら……
「手札から装備カード【魔力充填装置】を使用、【ルーンスライム】に装備させる!」
この装備カードは、ヒロキとの対戦後に新たにデッキに組み込んだカードだ。
その効果は、【魔力充填装置】を装備したまま1ターンを経過した場合プレイヤーのマジックポイントを2ポイント増やすことが出来るというものだ。
僕のデッキはとにかくマジックポイントを溜める事が勝利に直結する。
そのために、マジックポイントを増加させるためのカードを何枚かデッキに組み込んである。
「これでターンエンドだ!」
これでこのターンに出来る事が無くなったのでターン終了を宣言する。
「どんな戦術を使ってくるのかと思ったらベタベタの【スライムデッキ】の基本戦術じゃねえか。雑魚モンスターばかりズラズラ並べやがって、次の俺のターンで目にもの見せてやるよ!」
シモンが悪態をつきながらカードを1枚ドローする。
この瞬間、シモンの手札は6枚、マジックポイントは7ポイントになる。
「さあ行くぜ!俺のターン、マジックポイントを1ポイント使用して手札から【キリングワーム】を召喚!」
シモンがマシンにカードをセットした瞬間、フィールドに体長2メートル程のミミズの様なモンスターが出現する。
【キリングワーム】 レアリティ N バトルポイント 1000
会場のギャラリーからはざわざわとどよめきが聞こえてくるが、その中にチヒロの悲鳴が混じっていた。
……そういえばチヒロの奴は、ああいうの無理だったな。
「さらにマジックポイントを1ポイント使用して【キリングワーム】をもう1匹召喚だ!」
シモンが同じモンスターを更にもう1体召喚する。
これでフィールドに【キリングワーム】が2匹並んだ。
2匹でウネウネ動いている様子を見てチヒロが卒倒しそうになっている。
「まだまだぁ!マジックポイントを1ポイント消費して手札から【デスローリーポーリー】を召喚!」
ミミズの次はダンゴムシだ。
フィールドに巨大なダンゴムシが足をカサカサさせている。
チヒロの方はもう見ないことにする。
【デスローリーポーリー】 レアリティ N バトルポイント 1000
これでシモンのフィールドにはモンスターが3体いるが……
変だな?3体ともバトルポイントが1000しかないぞ。
【スライムデッキ】の中で最弱の【ブルースライム】でもバトルポイントは2000だ。
それよりバトルポイントが少ないモンスターなんて逆に貴重と言える存在だろう。
そんなモンスターを率先して3体も並べるなんて何か狙っているとしか思えない。
「さて、次はこれだ。マジックポイントを2ポイント消費して【インフェルノスネイル】を召喚!」
何と次は巨大なカタツムリが召喚された。
体から気持ち悪い粘液を出しながらゆっくりと動いている巨大カタツムリ……
何とも悪趣味なデッキだな。
【インフェルノスネイル】 レアリティ R バトルポイント 4000
「ふん、これで準備は完了だ。それでは【インフェルノスネイル】のスキル【闇の酵素】を発動!このスキルは【分解】の能力を持つモンスターの行動回数を2回にする」
「【分解】能力持ちのモンスターを2回行動にする能力だって!?ま、まさか……!?」
「そのまさかだよ、俺のフィールドにいるモンスターは全部【分解】持ちなんだよ!」
……まずい!
現在シモンのフィールドにいるモンスターは【インフェルノスネイル】を入れて4体だ。
全員が2回行動可能だとしたら一気に僕の盤面は崩壊してしまうかもしれない!
……いや待てよ?
シモンのフィールドのNモンスターはバトルポイントは1000のモンスターがほとんどだ。
こちらのフィールドの【ブルースライム】と【ルーンスライム】には及ばない。
……という事は撃破は不可能、こちらの優位は揺るがない。
「……とでも思ったかぁ!?【分解】の能力を知らないみたいだから教えてやるよ!【分解】持ちのモンスターは同じレアリティのモンスターを文字通り【分解】、つまりバトルポイントに関わらず即死させる事が出来る!」
「な、何だって!?」
「まあ、分解されたモンスターを召喚するのに使用したマジックポイントはプレイヤーに還元されるがな、それでもお前の負けは確定しているも当然なんだよ!さあ、行くぜまずは【キリングワーム】で【ブルースライム】へ【分解】を使用だぁ!」
シモンの宣言と共に【キリングワーム】が【ブルースライム】に飛び掛かり雁字搦めに巻き付いた。
すぐに【ブルースライム】の体が溶け始め消滅していき消え去ってしまった。
何て恐ろしい光景なんだ……
【ブルースライム】が【分解】されたと同時に僕のマジックポイントが1ポイント回復し6ポイントとなった。
「続いて2匹目の【キリングワーム】で次の【ブルースライム】を【分解】する!」
すぐさま2体目の【ブルースライム】が分解されてしまう。
これで僕のマジックポイントが7ポイントとなる。
「まだまだぁ!次は【デスローリーポーリー】で最後の【ブルースライム】を【分解】だぁ!」
巨大なダンゴムシが3体目の【ブルースライム】に襲い掛かる。
上から圧し掛かり、そのまま足をカサカサしながら【ブルースライム】を溶かす様に【分解】していく。
……まだ【ブルースライム】だからマシに思えるけど、ヒロキの【魔獣デッキ】とかだと地獄の様な風景だったろうなぁ。
そんな事を考えている内に3体目の【ブルースライム】も【分解】されてしまった。
これで僕のマジックポイントは8ポイントとなる。
「最後に【インフェルノスネイル】だ!これまた【分解】を使用!標的はもちろん【ルーンスライム】だぁ!」
【インフェルノスネイル】が口から粘液を発射し【ルーンスライム】に浴びせかける。
【ルーンスライム】は直ぐに溶け始め、一瞬で跡形も無くなってしまった。
同時に【ルーンスライム】に装着させていた【魔力充填装置】も消滅してしまう。
……ちくしょう、効力を発揮する前に消されてしまった。
それでもマジックポイントが1ポイント回復し9ポイントとなったが、僕のフィールドのモンスターは1体もいなくなってしまった。
……しかし、やれることはある!
「【ルーンスライム】が倒されてしまったのでスキル【ルーンバースト】を発動!マジックポイントを3ポイント回復する!」
「ふん!悪あがきをしやがって!」
これで僕のマジックポイントは12ポイントとなったが、絶体絶命のピンチである事には変わりがない。
何せ、僕のフィールドにはモンスターがゼロ、相手のフィールドには行動可能なモンスターが4体もいる。
「これで丸裸だなぁ!俺のフィールドのモンスターでお前にダイレクトアタックだ!」
シモンの宣言と共にモンスター達が僕に攻撃を仕掛ける。
それぞれ1回ずつ攻撃を受け、僕のライフポイントは一気に残り1ポイントとなってしまった。
「これでターンエンドだ、もう勝敗は決したも同然だな」
1ターン目後攻終了時点
ヤマト 手札 2枚 ライフポイント 1 マジックポイント 12
フィールド
モンスター無し
シモン 手札 2枚 ライフポイント 5 マジックポイント 2
フィールド
【インフェルノスネイル】 レアリティ R バトルポイント 4000
【デスローリーポーリー】 レアリティ N バトルポイント 1000
【キリングワーム】 レアリティ N バトルポイント 1000
【キリングワーム】 レアリティ N バトルポイント 1000
……1ターン終了時点でこちらの盤面は完全にガタガタにされてしまった。
何て恐ろしいデッキなんだ。
ヒロキが完敗したのも納得の恐ろしさだった。
ここから逆転の目は存在するのか……
僕は千載一遇のチャンスを願いながら山札からカードをドローした。
やっぱりカードバトルは描いてて楽しいです!
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