15、16
15 追い出される少女
死せる令嬢 その中に
ゆめをみたまま 目覚めずに
少女はひとり 囚われて
嘆く化物 慰めん
されども誰も 気づかずに
少女彷徨う 城の中
死せる令嬢 葬られ
遺体は眠る 土の中
宿る体が 溶け崩れ
体を持たぬ ゆめのなか
令嬢沈む 土の中
浮いて透き出て 顔を出す
墓参りたる 化物と
顔を合わせて 硬直す
少女は嘆く 帰れぬと
化物叫び 追い立てる
世界の狭間 追い出され
ついに少女は 目を覚ます
16 ゆめの後に
おやすみなさい ゆめのなか
永らく夢の なかにいた
少女目覚める 部屋の中
少女見知らぬ 白い部屋
長いゆめでも 現実は
あかつき如く 短いと
少女のゆめは さればとも
永らく起きず 幾年も
病室目覚む 少女の手
足もまつ毛も 長く伸び
鏡の中に いる影は
死せる令嬢 瓜二つ
病室開きて 訪のうは
白衣を着たる 老医師は
少女手を取り その指に
輝く指輪 指に入る
少女叫んで 仰天す
ゆめの化け物 瓜二つ
最後までお付き合い頂いた皆様、ありがとうございました。
今後も、こんな形式で書く試みは続けたいと思います。
悪役令嬢にしたかったのですが、ちょっと難しかったみたいで、悲劇の令嬢になってしまいました。
ご意見など頂けるとありがたいです。