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3、4
3 令嬢、自殺を図る
旧校舎にて 絡み合う
愛しき男 許せずに
令嬢扉 引き開けて
煤けた部屋に 入りたり
令嬢捨てし 青年は
すでに愛する 別の人
地位も名誉も 持たずして
ただ愛される 女の子
泣きて叫びし 令嬢に
冷たき男 突き放す
持たなき女 あざ笑い
令嬢泣きて 打ち沈む
世を儚んだ 令嬢は
高き塔から 飛び降りて
この世の全て 投げ棄てる
飛び降りたのは 泥の沼
死を望みつつ 死にきれず
少女ゆめから 放たれる
4 少女、ゆめに囚われる
ゆめのあまりの リアルさに
ゆめのあまりの 悲しさに
夜を迎えし されどなお
少女は布団 拒みたり
されども夢を 知るものは
少女の他に 誰もなく
寝るを拒むは 果たされず
少女はついに ゆめのなか
少女は三度 ゆめのなか
知りたる姿 令嬢の
生死彷徨う ゆめのなか
少女の夢と 入り混じる
少女宿し 令嬢が
目覚めし後に 取り巻きが
上や下やの 大騒ぎ
起きぬと皆が 信じたり
夢を介して 入れ替わり
もはや少女は 戻られず