09 節度
シュレディーケさんとの同居生活、つつがなく継続中。
僕は、いままで通りの狩人。
シュレディーケさんは『ゲートルーム』でお出かけして、ソロ冒険者として各地での依頼をこなす日々。
基本的には、お互いの仕事については過度の干渉をしないようにしています。
生活の方も過剰にベタつかないさらりとした関係を心掛けてますので、同居人以上夫婦未満って感じかな。
家事は、お互いマイペースで。
料理は、まあ、ふたりとも勉強中。
ひとり暮らしの頃は、食については全く気にしていなかったけど、相手がいると、ね。
掃除や洗濯は、例の便利魔導具の数々が役立ってくれています。
とくに役割分担とかはしないで、お互いが必要に応じてって感じですが、
「新妻の務め」とか言って僕の服を洗濯したがるのは勘弁してほしいです。
僕がシュレディーケさんの服を洗おうとすると、凄く恥ずかしがるくせに。
お風呂に一緒に入りたがるし、相変わらず僕の寝床に潜り込んでくるし、
あんなに照れるくらいならやらなきゃいいのにと思うのですが。
シュレディーケさんの羞恥の基準は、なんだかよく分かりません。
「私も、よく鈍感だと言われるが、フォリスさんも大概だな」
じゃあ、似たもの同士ってことで。
「つまりは、似合いの夫婦!」
えーと、それで良いです。
でも、節度ある間柄でいましょうね。
「難しいものだな、夫婦というのは」
あまり難しく考えずに、今まで通りで良いと思いますよ。
「私は、今までよりも甘えたいのだが」
お任せしますよ。
「では、今夜こそは添い寝からの脱却だな」
節度ある間柄……
「もっと夫婦らしくありたい、と思う」




