07 ご祝儀
シュレディーケさんが持ってきてくれたお礼の品々は、今まで見たことがないような数々の魔導具。
魔導食糧収納庫、魔導洗濯桶、魔導コンロ、魔導湯沸かし炉と魔導配管各種、消臭・清浄などの各種魔法が付与された魔導トイレ、などなどの生活を快適にする魔導具。
中に広い『空間』がある魔導テント、大容量『収納』リュック、などなどの出先で使う優れもの魔導具。
他にもいろいろあるけれど、
えーと、この黒い板は、なんですか。
「『Gふなずし』という魔導具だ」
「確か"Greatな複合型ナビゲーション随時接続式システム"の略称、だったな」
「広範囲の周辺『探索』機能、このエルサニア王国と周辺諸国の地図情報を活かした『道案内』機能、これと同じ魔導具同士の『通信』機能」
「そして、魔物や外敵以外にも悪天候などの様々な脅威から範囲守護出来る『結界』機能」
「その全てがこれひとつに集約されている素晴らしい魔導具だ」
「正式名称としては、"mk.Ⅶ"をつけるべきなのだそうだが、なにせ改良ペースが早すぎて、みんなも『Gふなずし』とだけ呼んでいる」
えーと、凄く高価そうですね、これ。
「友人の天才魔導具技師が、結婚祝いとしてこれらの魔導具を持たせてくれたのだ」
「感謝してもしきれん」
それって結婚詐欺……
「事実婚であるから問題無し」
そんな事実はないですってば。
「私の友人たちに、フォリスさんを紹介したいのだが」
えーと、何度も言いますけど、僕はここで静かに暮らしたいのです。
シュレディーケさんが押しかけ女房もどきするのは構いませんが、これ以上騒がしくなるのは御免です。
友人さんたちとの交流の邪魔はしませんから、僕の静かな生活の邪魔をしないでください。
「しかと心得た」
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いつのまにか、庭の隅に小屋のような小さな建物が建てられていました。
『ゲートルーム』という『転送』施設だそうです。
この建物に入れば、同型の施設間で自在に『転送』できるのだとか。
で、利用するには鍵が必要だそうで。
『コニタン』
"個人認証用単一素材ブレスレット"の略称で、『ゲートルーム』だけではなく、結婚祝い(?)の各種魔導具の使用許可証的な腕輪型の鍵だそうです。
これを使えば『ゲートルーム』でシュレディーケさんの友人宅へ『転送』できるそうですが、もちろん僕は行きませんよ。
というわけで、シュレディーケさんの友人さんたちが僕の家を訪れるようになった次第。




