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06 同居


 同居生活でお世話されてるっていうより、お世話しているのは、僕。


 シュレディーケさんは、なんというか、不器用な人。


 性格が真っ直ぐ過ぎて迷走するタイプ、かな。


 悪い人ではないけれど、とても要領が悪い。



 前言通り、家事は駄目駄目。


 何事にも全力を尽くすのは結構ですが、


 全てに全力全開が最適とは限らないのですよ。


 火加減とか、味付けとか、掃除とか、洗濯とか、


 なんというか、一生懸命に不器用。



「済まない、妻失格だな」


 いえ、必ずしも家庭内で奥さんが家事担当とは限らないでしょう、


 って、妻ってなんですか。



「事実婚、だな」


 そんな事実はないです。



「一緒に寝ているであろう」


 勝手に僕のベッドに潜り込んでこないでください。



「夫婦なら当たり前」


 えーと、これが男女逆だったらって考えてください。


 突然、女性のひとり暮らしに押しかけてきた男が、


 夜、勝手にベッドに忍び込んでくる。



「人として許せない最低の行為だな」


 まさにそうですね。



「最低の私を、夫として教育してほしい」



 ……駄目だこりゃ。



 ---



 受け入れたわけではないけれど、今の生活をなんとかしないといけない。


 というわけで、ふたり暮らしに折り合いをつけねば。



 家事は駄目駄目のシュレディーケさんですが、冒険者としては相当強いです。


 力比べとか、剣術とかでは、かないません。


 でも、この森で狩人として生きていくために必要なのは、圧倒的な強さを誇るのではなく、強さを隠す技術。



「私は狩りには同行しない方が良さそうだな」


 そうですね、シュレディーケさんがそばにいると、弱い獲物はみんな逃げちゃうし、強い獲物は興奮し過ぎるし、狩りになりません。



「この森では、私は護衛もまともに出来ない」


 そもそも冒険者として冒険の旅を続けたかったのではないのですか。



「今はただ、妻として夫に寄り添うのみ」


 シュレディーケさんがそうしたいのなら、好きにしてください。



「私のことは嫌いか」


 好き嫌いはさておき、お互いのことを尊重しあって、自分の都合を押し付けないのであれば、同居もやぶさかではありません。



「ありがとう」


 どういたしまして。



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