03 回復
あれから半月ほど。
ようやく回復したシュレディーケさんを連れて、村を目指す。
村までは結構歩くけど、足取りもしっかりしているし、もう大丈夫。
この人が相当鍛えているのは、身体を拭いた時に確認済み。
ただ、武術の心得はあるようだけど、森で暮らすための知識・経験は別。
「凄いな、フォリスさんは」
?
「森に入ってから、全く気配を感じさせない」
狩人だから。
「良い師から教わったのだな」
僕なんて父さんの足元にも及ばないけど。
あと、魔熊の親子が近くにいるから、静かに。
「……」
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無事に村に到着。
すぐに帰ろうとしたけど、魔物調査依頼失敗の報告、いっしょにギルドに来てほしい、と。
仮設冒険者ギルドの受け付けで、シュレディーケさんと受け付けのミュネさんが話し合い中。
依頼失敗を申し訳なさそうに報告しているシュレディーケさん。
たぶん都会育ちなので、これからは自分に合った依頼を受けてほしい。
「フォリスさん、よろしいですか」
事の経緯をミュネさんに説明。
「救助の報酬の方は」
そういうのはいりません。
それじゃ、僕はこれで。
ふたりに挨拶して、ギルドを出る。
本当は大いのししの毛皮とかを持ってきて売りたかったけど、早くひとりになりたかったので。
商店で、調味料や雑貨を多めに購入。
やっぱりひとり暮らしじゃないと、減りが早いな。
今後も何があるか分からないから、日持ちする品は多めに用意しなくちゃ。
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家に帰ると、困ったことが。
シュレディーケさんの忘れ物。
短刀、ひと振り。
困った。
取りに来られると厄介だし、明日ギルドに届けに行こう。
というわけで、明日の準備を済ませたら、早めに就寝。




